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     恋の終わり(1)

 もう、この道を通ることは無い。そしてこの駅にも来ることは無い。そう思うと胸が張り裂けそうだった。


 ここに来るようになって二年半になる。知り合ったのが桜満開の三月の末。会社仲間と毎年恒例の花見だった。


 外気に触れての酒宴は楽しかった。皆良く飲んだ。男性七人女性四人。


 夜九時に解散した。殆どが二次会に連れ立って行った。あまり酒の飲めない私と女性三人は上野駅に向かった。


 帰り先が違うので、そこでバラバラになった。君と僕は新宿まで一緒の電車だった。


 君は大分酔っていた。電車に揺られ気分が悪くなったようだ。新宿に着いた時は歩くのがやっとだった。


 放っておくわけにもいかず、ホームのベンチに座らせ、水を買って来て飲ませた。


 それがいけなかったのだろう。吐き気をもようしたらしい。トイレの前まで支える様にして連れて行った。君は吐き気を良く我慢したと思う。


 暫くして蒼白な顔をして出て来た。足元は大分しっかりしていた。若いと回復も早い。今年で入社五年になる。私と一回り違う。


「すみません、ご迷惑をおかけしました。もう大丈夫です」


 心配だが、変に誤解されると困るので、


「大丈夫?気を付け帰ってね」


 と別れた。次の日、私が昼食へ出るのを待っていたかのようにエレベーターの前に来て、


「昨日はありがとうございました」


 と礼を言う。その日は昼食を一緒にした。以来帰りが同じ方向でもあり、時々居酒屋へ誘った。年齢差もあり、恋の気持ち等あろうはずも無かった。明るく楽しい酒だった。


 ある日、その居酒屋で相談を受けた。


「その人、気付いてくれないのです」


「ふーん、じゃ、吉野君の片思いと言うわけだ」


「そうなんです。どうしたら良いですか?」


                                 つづく