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     騙し続けて欲しかった 5 最終回

 「答えて下さい。どう言うことですか?」


「ごめん。結婚を考えたら、借金を無くさなくてはと思った。そして、無くなったら結婚歴の話をしようと思った」


「それまでは無くすどころか、減らすことすら出来なかった。思いあぐねて夕刊紙の広告を見て弁護士に相談した」


「効果はてきめんだった。1千万程あった借金の利息がストップし、さらに過払い金が返金され先月全て完済した」


「返済のために、酒もたばこも止めた。気付いていたかもしれないが、君との外食も少し質素にした」


 女は思い当たることがあったのか話始めた。


「私は6年前貴方と出会った時、結婚するならこの人だと直観的に思いました」


「ところが1年後、貴方は急に人が変わったようになりました。理由はそれだったのですね」


「貴方と一緒にいると幸せでした。だから全てを任せました。でも5年になりますがそれ以上の進展がありません」


「再来年は40歳になります。少し不安になって来ました。何か隠し事があるのではと思ったのです」


「いけないと思いながらも役場で戸籍謄本を取り寄せました。何かあると思っていましたから驚きませんでした」


「でも、12年も前の事です。私にはどうにでも話が出来たはずです。どうせなら騙し続けて欲しかった」


「騙すとはどういうことだ!」


「例えば性格の不一致だったとか、騙されたでも良いのです。私を納得させる嘘をついて欲しかったのです」


「結婚出来なくても良いのです。あなたと一緒にいられたらそれで幸せです。そう思いました」


「役場でそれを知った時、私は貴方に冗談交じりに結婚したことあります?と聞いたら貴方は無いよの返事でした」


「あの時話して欲しかった。私はあの時別れようと思いました」


「私に話しては頂けない。貴方にとっての私はその程度のことでしかなかったのと、悲しくなりました」


「いや、それは違う」


「どう違うのよ。結婚する気はなかったのでしょう!結婚する気があるなら手続きの時、離婚歴は必ずわかります」


「話して頂けないと言うことは、結婚の意思はなかったとわかりました。私は貴方との生涯を夢見ていました」


 女は俯くと膝の上の両手を握りしめた。


「…それでもこの5年間幸せでした。私は男性にはいつも不信感を持っていました。それを無くしてくれたのは貴方です」


「僕は君に出会って変わった。人生を真剣に考えるようになった。人を愛することの素晴らしさを知った。だから、離婚歴の発覚が怖かった」


「必ず話さなくてはならないと思っていた。でも話すことで、結婚どころか君を失うかも知れないと思うと話せなかった」


「とうとうみんな話した。だらしのない僕に、さらにがっかりしただろう」


「いいえ、安心しました」


「えっ、本当に?ますます嫌になったのじゃないの」


「そんな貴方が好きです」


 男は予想外の言葉に嬉しくなった。そして突然正座した。


「結婚して下さい」


 男は思い切って言った。


「はい」


 女は目に涙を溜めていた。


                        終わり

次回は1月25日金曜日新作掲載します