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    諦めない

 結局、眠れなかった。仰向けに寝たまま、薄明るくなった窓を見た。ベッドに入ったのは午前2時。


 それにしてもベッドの中で何を考えていたのだろう。時計は5時半を指している。


 ぬくぬくと眠っていたのだろうか。自分が情けない。この状況で良く眠ったものだ。案外図太いのかも知れない。


 男は再び考え始めた。しかし、打開策はどうしても思いつかない。昨日は社員が帰った後、製作工程を何度も見直した。


 納入先からの二度目の単価下げ要求だ。今日返事することになっている。断ると仕事は無くなるだろう。


 前回は製作工程を見直した。これはコスト削減にいい機会だった。社員も危機を感じたのだろう。協力的だった。


 社員の給料は上げることはあっても絶対下げない。これは男の経営方針だった。しかし、この要求を呑めば作るごとに赤字が出る。


 その時、男はふと普通の事のように秘策を思いついた。


 その朝10時、納入先担当者が訪れた。以外にもいつもと違い腰が低い。


「社長、この単価でやっていただけるなら5割増しの仕事を出します」


 多分、単価下げ要求に仕事を断った会社が出たのであろう。


 男は3割増しの仕事で承諾した。社員には日々2時間の残業をしてもらうことになった。


 社員は残業無しの仕事が常態化していたので大喜びだった。


 生産コストは下がった。生産量が増えたため、固定費はそのままで、残業人件費が加算されるだけになるからである。


 それは男の秘策と同じであった。若干であるが会社に利益をもたらすことになった。


 担当者にこちらからお願いするところを、向こうから言って来た。


しかし、男は今更ながら下請けの限界を感じた。この仕事は1年続く。


 この間に独自の製品化を進めることにした。実は前回のみならず、度重なる値下げ要求に試作品を作っていた。


 試練はチャンスだと思い至った。どんな場合も諦めないことだ。


                                   完

次回は1月12日金曜日朝10時に掲載します