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      35、兵法

「おつるさん、剣の極意を聞いてどうする気かな?」


「商売に生かそうと思います。松崎さんを見て、流石にお侍さんは違うと思いました。帳付けにしても即座に代わりをなさいます」


「いや、それは算術だ。極意とは違う。武士の子であれば誰でも出来ることだ」


「その誰でも出来ることが町人には出来ません。商人になるには最低7年、12歳で奉公し丁稚から手代になります。帳場を預かる番頭はそこから15年です」


「それは武士も同じだ。剣術も学問も一生学び続ける」


「一生ですか?」


「そうだ。生まれた時からと言っても良いだろう。しかし、主家が潰れればそこで終わりだ。剣術も学問も無いも同じだ」


「でも他へ奉公することが出来るではありませんか?」


「奉公か、仕官の道が無いわけではないがこの太平の世の中、どこの藩も人は余っている」


「それでは、そういう知識や能力を使って商売をなされたら凄いことになりませんか」


「ははは、それが出来ないのだな。武士が町人、まして商人となるとは死を選ぶに等しい」


「もったいないですね。剣の極意は商売の知恵の宝庫です。でも逆に安心です。お武家様が商売をなさったら怖いです」


「おつるさん、剣の極意と商売は、一面的には相通づる。しかし、剣客と商人では絶対的違いがある」


「私は固定観念の一言を聞いても、思い当たること気付かなかったことが沢山ありました。剣の極意は素晴らしいです。違いとはどんな違いですか?」


「剣客は一国一城主を目指していない。剣に勝つことのみ。商人は店を持つこと、ひいては大店の主になることを目指す」


「おっしゃっていることが良くわかりません」


「武士は主君に使えることが使命だ。剣や学問はその為にある。己の為では無い。商人は始めから店主を目指す。この違いだ」


「わかりました。根本が違うと言うことですね」


「そうだ。ただ、武士には兵法と言うものもある。私は兵法も学んだ。天下をいかにして取るかと言うものだ」


「教えて下さい。兵法を教えて下さい」


続きは明日5日朝10時に掲載します


「無理だ。武経7書と言って、その量と難解さは読み解くに至難のことだ。学んだと言ったが、父から口伝されただけだ」


「私にも口伝して下さい」


「ここに来なさい。口伝しよう」


「はい」


 おつるは帳付け机を離れて、松崎の前に座った。松崎はおつるの顔をじっと見つめた。


「恥ずかしい、そんなに見つめないで下さい」


 急に小声になって俯いた。せつない予感がした。同時に松崎に口を吸われていた。嬉しくて、じっとしていた。


 手が胸元から入って来た。


「ちょっと待って下さい」


 おつるはその手に、自分の手を重ねるようにして止めた。そして立ち上がり、行燈の灯りを消した。


 火鉢の炭の灯りが、おつるの身体の輪郭を照らす。妖艶さに松崎はぞくっとした。おつるはするすると帯を解いた。


 長襦袢だけになったおつるは、松崎に身を寄せた。松崎はおつるをそっと寝かせ、襦袢の前を広げた。


 甘いような肌の匂いと共に、小ぶり乳房が現れた。慈しむように交互に吸った。子供のような小さな乳首だった。


 おつるは下腹部にくつくつと何かが当たる。松崎の手に襦袢が左右に広げられ、それは直に当たる。


 手が添えられた。おつるは十分に潤っていた。それはゆっくり入って来た。


 下腹部に頬張るような感触がした、それはそのまま動き始めた。擦れるような注送が心地よく、甘美な感触に酔った。


 それは束の間、松崎は激しく動き始めた。おつるの心地良さは、強い快感に変わった。どこまでも続いて行く。


 松崎はさらに動きが激しくなった。二人の快感がはじけた。おつるは気を失ってしまった。

「おつるさん、好きだよ」


 松崎の囁くような声を遠くで聞いた。目を開けると、ぎゅーと力いっぱい抱きしめて来た。

「これから、毎晩兵法を口伝するよ。耐えられるかな?」


 にっこり笑いながら、松崎は乳房をまた吸った。快感の後の乳房は何だかくすぐったかった。

「はい、先生よろしくお願いします」


 おつるははにかむような顔をして、嬉しそうにはっきり答えた。


 それから3月が経った。おつるは身ごもった。


                        つづく

続きは2月11日火曜日朝10時に掲載します