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          駄目なのは私?  

 来ないのかしら、早く来て。もう少しゆっくり歩こうかしら。


 振り返ってはいけない。駅に着いたらどうしよう。本当に帰ってしまうから・・・・・・・・。


 貴方が悪いのよ、嘘つくんだもの。


 仕事だなんて、見え透いたこと。もう10時でしょ。赤い顔して、よく言うわ。会社から40分で帰れるのよ。


 9時まで残業があるはずないじゃない。飲んで来たって言えば良いのよ。ちゃんとわかっているんだから。いかにも最もらしく、


「今日中に、仕上げなければならない仕事があってね」


 と言う。私ね、貴方が帰る7時までに、夕ご飯作るために、どれだけ急いで来たと思ってるの。


 5時に退社して急いで来たのよ。駅前のスーパーで買い物して大急ぎで帰って来たの。


 毎週金曜日は、一緒に食事するって決めてるでしょ。今日は給料出たばかりだから、奮発したのよ。


 貴方の好きなステーキよ。


 付け合わせにボイル野菜。かぼちゃのポタージュに、野菜たっぷりフルーツサラダ。


 おつまみに、スモークサーモンのレモン添えにりんごとチーズのオードブル。


 1時間で作ったの。偉いわね。


 あっ、遠くから駆けて来る足音がする。やっぱり来たわ。やっと来たわ。


「ごめんね!僕が悪かったよ」


 はあはあと肩で息をしながら、地面にしゃがみ込んでしまった。


「断り切れなかったんだ。昨日が給料日だったから、みんな一緒だったんだよ。ごめんね。お願いだから帰らないでよ!」


 走ったから酔いがまわったのか、少しずつやっと話す。


 貴方が怒って、


『じゃ、帰れよ』


 て言ったんじゃないの。


 私は彼の手を肩に回して、ゆっくりアパートへ引き返した。


 この人は出世しないわね。でも良いの。許してあげる。  


          完