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     鈍感な男

 連絡が無くなり五日になる。一緒に住んで二年。


 来年は互いに三十歳になる。大晦日前日、夕食をしながら、彼女は言った。


「ねぇ、私達一緒に住んで二年になるわね」


「そうだな、早いね」


「来年どうするの?」


「どうするって、どう言うことだ?」


「何も考えていないのね。私達三十になるのよ」


「そうか、三十になるのか。何か良いことないかなー」


「それだけ?」


 その後彼女は口数が減った。


 次の日、朝出かけたまま帰って来なかった。


 電話すると実家に帰っていた。大晦日だ。


 去年は僕と一緒にいたから、今年は仕方ないか。寂しかったが、一人娘だからと我慢した。


 おめでとうのメールは来たし、今日は仕事始めの一月四日。今日は帰って来るだろう。


 今日も帰らなかった。連絡も無い。具合でも悪いのだろうか?心が騒ぐ。


 翌日。会社の帰りに、千葉の彼女の自宅へ初めて行ってみた。


 彼女の母親らしい人が出て来た。名乗ると、


「留守です。家には、もう来ないで下さい」


と言う。


 母親が止めるのも聞かず、彼女が出て来た。泣いていた。


男は、玄関土間に土下座した。母親に


「結婚させて下さい。お願いします」


 大声で必死に何度も頼んだ。見兼ねたのか、父親が出て来た、


「上がりなさい」


 応接間に通された。


「そこに座りなさい」


 座るや否、男は又も


「お願いです。結婚させて下さい。


「まだ、君の名前も聞いてなかったが・・・」


 男は名前と勤め先を述べ、鹿児島で生まれたと言うと、


そこで父親は笑った。


「わかってるよ。君の訛りは鹿児っまじゃ」


「玲子、お前の気持ちは?」


「お父さん、結婚させて下さい。お願いします」


「そうか、それじゃ一緒に帰りなさい。そして、明日、改めて二人で来なさい」


                         完