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         主婦の溜り場

 昼下がり、今日も3人の立ち話。


ここは屋台のやきとり屋。この時間になると、入れ代わり立ち代わり3、4人がたむろする。


 それにはきっかけがあった。やきとり屋のファッション談義が面白いのである。


 やきとり屋の前職は婦人服メーカーの販売部長。倒産による転職である。


男はこれを機会に独立をしたいと考えた。資金が少なく資格のいらない職種を探していた。それがやきとり屋だった。


 まずは見習いと、屋台の胴元に相談に行った。前職を知り反対された。一転しての汚れ仕事である。無理だと言う。


 胴元は根負けして店を任せた。その店は、誰もが失敗して辞めて行く売れない店だった。


 男は案の定苦戦した。初めの内は何度辞めようと思ったことか.意地で耐えた。


不思議だが思わぬことで少しづつ客が付き始めた。男には販売と商売の違いが少し見えて来た。


 客のほとんどが女性である。長い間の職業病か女性のファッションは気になる。つい口を出してしまった。


「素敵な着こなしですね。ブルーをさらりとお召しになり、クリームのパンツに良くお似合いです」


「そのハイネックのワイン色、お顔に素敵にお似合いです」


「あら、そうかしら、でもありがとう」


 言うことがいちいち的を得ている。


そして、時には二階の商品紹介までする。


 ネービーのプルオーバーが半額で出ていますが、あれは良いですね。今年だけでなく来年も再来年も着れますよ。


 あのブルーグリンのジャケットは、釦を付け替えただけで、デパートでほぼ倍の値段で売られてますよ。


 業界の内幕を知り尽くした男の話は、貴重であった。


 二階の婦人服売り場では、やきとり屋が時々店内を見て行くので不信に思っていた。


 ところが最近、やきとり屋さんに聞いたけど、どこにあるの?と聞く客が日に少なからずある。


 売り場は好意的になった。


 この屋台は一番売れない店から、一番売れる店になっていく。


                       完