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   22、いとなみ

 二人は店を出た。お雪は嬉しそうに2歩遅れて歩いた。辺見は立ち止まり、お雪と並ぶと片手を肩に回した。


 辺りは闇夜に近く、人は誰もいない。お雪は嬉しくなって辺見にそっと身体を寄せた。


 辺見は答えるかのように、その身体をぎゅっと抱きしめた。立ち止まったままである。口を寄せたかった。


 闇夜であるが、いつ人がそばを通るかわからない。辺見はお雪をそっと離し、何事も無かったように歩き始めた。


 お雪は口づけをして貰えると思ったがそうではなかった。悲しくせつなくなってきた。


 長屋はどんどん近づいて来た。辺見の長屋の裏側にお雪の長屋がある。


 辺見は自分の長屋の前で立ち止まり、引き戸を開けた。お雪の手を引いて中に入り戸を閉めた。


 お雪は、えっ、どうしてと思う間もなく抱きしめられて口を吸われた。嬉しくて身体から力が抜けていった。


 その身体を持ち上げられ座敷に寝かされた。辺見が草履を片方ずつ外した。緊張して両足をしっかり閉じた。


 辺見はお雪の顔を両手でそっと挟み口を吸ってきた。お雪も応じるかのように口を少し開いた。


 辺見の舌が入って来た。ぞくっとした。その時、片方の乳房が掴まれていた。しかし、その手はそれ以上は動かせない。


「帯を解きます」


 お雪は自分から言った。辺見は驚いたが手を離した。お雪は立ち上がり、背を向けて帯を解き着物を脱いだ。


 お雪は長襦袢と腰紐だけになり自分から横たわった。辺見は無言で覆い被さっていった。


 お雪の両足の間に身体を割り込ませた。辺見はもう十分に男になっていた。お雪の太ももにそれが当たる。


 その時、辺見の手が伸びて来た。秘所を見つけ出すと指を付けた。ぬるっと入った。お雪の身体もその気になっていた。


 辺見はすぐに自身と入れ替えた。少しずつ最後まで入れると動き始めた。絡みつかれるような感覚に夢中になった。


 お雪は身体が心地良かった。心地良さは快感に変わりどんどん増していった。どこまでも限り無く増して行く。


 快感が怖くなるほどだった。後頭部が後ろに引きずり込まれた。意識が遠のいて行くお雪は気を失ってしまった。


 辺見は自身を出し入れする度にきゅっきゅっと絞り込まれた。その上そこはぬめぬめと纏わりつき生き物のようである。


 そして、ぎゅっと締め付けられ、ぱっと離された。快感のあまり強力に射精した。


 辺見は力尽きた。お雪に体重の負担を掛けまいと力を振り絞って横に倒れた。


 どれほどの時間が経ったのかふと目が覚めた。脱いだはずの単衣が身体にかけてある。小さく燈明が点けてある。


 お雪は帰ったようだ。引っ越したばかりの部屋はがらんとして寂しい。


 好きで好きでどうしょうも無く好きになっていた。お雪も少なからずとも好意は持っていてくれたと思う。


 しかし、他に方法はなかったのだろうか。強引過ぎた。嫌われたかも知れない。後悔していた。


 お雪は、自分の長屋に帰ると座ったままでいた。もう半刻近くになる。浅はかな自分がやるせなかった。


 先生が好きで好きでどうしょうも無く好きになっていた。出来ることなら抱いて貰いたかった。


 その気持ちから、自分から着物を脱ぐなんて、はしたない。どうしてあんなことをしたのだろう。


 先生は、その慎みの無さにきっと嫌いになられたはずだわ。そう言う女だと思われたわ。悲しい。もう死にたい。


 いつの間にかそのまま眠ってしまったようだ。外は明るくなっているようだ。何刻だろうか?


 井戸場に顔を洗いに出た。


「おはよう!お雪さん、今日は早いね」


 同じ長屋の女房だ。女房が二人いた。


「おはようございます。今何刻ですか?」


「もうすぐ明け6つ(6時)の鐘が鳴るよ」


「ああ、良かった。寝過ごしたかと思った」


「昨夜も遅かったんだろう。無理しないこったね。身体壊すよ」


「ありがとう」


 お雪は急いで部屋に戻って行った。6つ半(7時)の朝食まで大忙しである。


「ねぇ、あんた。お雪さんこれが出来たんだってね」


 親指を立てて言う。


「どうして知ってんの?」


「隣の長屋にいるみたいよ。それがまた良い男でね。浪人さんみたいだよ」


「ふーん!浪人さんとは珍しいね。この長屋じゃ初めてだね」


「色男、金と力は無かりけり。あんたもあたしも恵まれてるね。顔は悪いけど稼ぎと力はあるからね」


「そうだと言いたいけど、うちのは金の力が無いんだよ」


「何言ってんだよ。歳の功もあるけど、うちよりはるかに良いそうじゃないか」


「金(かね)じゃなくて金(きん)の力だよ」


「そりゃ寂しいね。うちは毎晩で身体が持たないよ。何なら貸そうか?」


「本当?貸してよ。身体が火照っちゃって困ってるんだよ」


「わかった。今晩貸してあげるよ」


「ありがとう。でも、その間うちの亭主どうする?」


「見てるわけいかないしね。そうだ!あたしが面倒みるよ。人が変わると良いかも知れないよ」


「無理だね。でも何でもやってみてよ。ごめんね」


 お雪の朝食作りは、昨日約束したばかりだ。今日が二日目。昨夜のことが気になって憂鬱な気持ちになっていた。


 それでもあらかた支度を済ませて、辺見を訪れた。昨日と同じ6つ半である。引き戸越しに声を掛けた。


「おはようございます」


 少し小さめな声になっていた。即座に中から、


「おはよう。お雪さんよく来てくれた。入って下さい」


 丁寧な言葉だ。やっぱり、お別れを言われるんだわ。静かに引き戸を開けた。


 辺見は起きていた。きちっと身支度をしていた。そして座敷の真ん中に座っていた。

          

                      つづく

次回は8月18日火曜日朝10時に掲載します

本日は掲載が遅れたことお詫び申し上げます