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    騙し続けて欲しかった 2

 女に騙すつもり等なかったが、隠しておきたいと思っていた。しかし、何気ない会話の中で口が滑った。


「あれ?仙台に住んでいたの?」


 女はあっと一瞬表情を硬くしたが、すぐに笑顔で、


「そうよ、言わなかったかしら?」


 取り繕った言葉だと直ぐにわかった。


「初めて聞いた。東京に生まれて、東京に育ったと聞いていた。いつ頃?」


 女の答えは少し間が空いた。


「2年程住んでいたの。昔のことよ」


「だから、いつのこと?」


「10年前になるわ、学生時代の友人に誘われて行ったの」


「それが住むことになったの?」


 女は目を逸らして遠くを見た。


「どうしたんだ、急に黙って。話してくれないか」


 話したくなかった。話せばお互いに嫌な気持ちになる。女は迷い、黙ってしまった。


「友人とは女性?」


 男性でなく女性?と聞いて来たことは何か察したのだ。変に誤解をされるなら話そうと思った。


「ごめんなさい。始めに話しておく必要がありました。本当にごめんなさい」


 女は男と心身を許す関係になるとは露ほども思っていなかった。それがいつしか心身を許すようになり5年になる。


「何を聞いても驚かない。話してくれないか」


 女は今では、男を心から愛していた。その気持ちが強くなるほど、話してはならないと思った。


「君も僕も再来年は40歳になる。これまでに色んな事があっても当たり前だ。大事なことはこれからの事だよ」


 女は俯いたままでいる。そう言われても、話すことが怖かった。


「過去にこだわる気はない。ただ、中途半端に聞いたままでは、何かのしこりになるかも知れない。話して欲しい」


 女は話すべきかと、まだ迷っていた。男の手が肩に優しく触れた。女は急に決心したかのように顔を上げた。


「お話します…」

 本日は掲載が遅れてお詫びします。

 次回は1月4日金曜日朝10時に掲載します