うちのひろと

♪退屈な待ち時間などに3分小説をどうぞ
面白い!気分が明るくなります。読後感が爽やかです
3分41話.5回8話.10回6話.15回7話.23回1話
時代小説9話
[朝陽におむすび][ひきょうもの][やぶ医者俊介]
[どんぶりめし][人に華あり][おつる][ちんこきり]
[護り屋異聞記] [片腕一刀流]
14、真冬の夏
暮れ六つ半(19時)を過ぎた。おちかはもしやと思って壁に耳を当ててみた。何の音もしない。
俊介の足音は、おちかには遠くからでもわかる。早い歩調で少し擦り気味に、すったすったと雪駄の音がする。
宵五つ(20時)になっても帰って来なかった。おちかは今か今かと待つ内に、何かあったのではと心配になってきた。
おちかは引き戸を開けて帰ってくる方を見た。人影もなくしーんと静まり返っている。
治療所は始まったばかりだから、忙しいのだろうと思ってみたが胸が焦がれた。
あたし何を考えているのかしら、ずっと年上よ。まして佐久間様は、今は浪人なさっているけどお侍様です。
身の程知らずと思いながらも、思う程にせつなくて寂しい。
雪駄の足音が近づいて来た。おちかは立ち上がると耳を澄ませた。引き戸を開ける音がした。
おちかは嬉しくなって急いで味噌汁を温めた。お櫃は布団の中に入れてあり、ご飯は温かさを保っている。
「お帰りなさいませ」
左手でお盆を胸に当てて、器用にも右手で引き戸を開けた。それを見て俊介はその盆を両手で支えようとした。
その手はおちかの左手にしっかり重なった。おちかはあっと声を上げそうになった。外を歩いて来た冷たい手であった。
おちかはその思いがけないことに、胸がどきりとした。嬉しさにじっとしていた。
「すまん、私が持とう」
俊介は盆を受け取った。おちかは盆を離した左手を右手で重ねてじっと立ったままでいた。一瞬ぼーっとしていた。
「おちかさん、いただきまーす」
俊介は少し酔っていた。少しろれつが変だ。おちかはあれっと思った。
「はい!どうぞ。今、火鉢に炭お持ちします」
「ありがとう。すまないね!」
食事を馳走になり始めて10日になる。慣れとは感謝の気持ちが薄くなる。俊介は当たり前のような口ぶりで言う。
しかし、おちかにはそれが嬉しかった。身近になった気がした。炭火を入れると狭い部屋だから直ぐ温かくなった。
「すみません、お口に合いませんでしたね」
「いや、美味しいよ。少し飲み過ぎたようだ」
俊介は一生懸命に食べた。二度目の夕食は食べるに限度がある。おちかへの気遣いからであった。
「おちかさん、水をくれ!」
「はい、ただいま」
おちかの差し出した湯呑の水をごくごくとうまそうに飲んだ。飲むとごろりと横向きに寝転がった。
すやすやと直ぐに寝息を立てて寝てしまった。おちかは部屋を見渡し、掻い巻きを見つけるとそっと俊介に掛けた。
その手を俊介は引き寄せた。おちかの顔が俊介の間直にある。甘い女の匂いがした。
俊介は両手でおちかの顔を引き寄せ口を吸った。いきなりのことで躱しようがなかった。
おちかはじっとされるがままでいたが、嬉しくて口を少し開いた。そこへ俊介の舌が入って来た。
おちかは自分の身体の芯が潤ったのがわかった。俊介の手が湯文字の中へ入って来た。
それがわかるのがいやだから身をよじったが、指がそれを捉えた。恥ずかしかった。
俊介はおちかの帯を解きにかかったが無理だった。おちかは自分から帯を解き始めた。
俊介は緩くなった胸元へ手を入れ、乳房をを掴み吸った。大きめの乳首で吸いやすかった。音を立てて吸った。
おちかの両手は後ろ帯にあり、吸われるままである。その度に声が出そうになった。身体がじゅくじゅくと潤った。
両足をこするようにして声を堪えていた。その時、足を強引に開かれずるっと身体が貫かれた。
「あーっ」
と声が出た。その後、何度も何度も気が遠くなった。それでも俊介の熱き息噴きは、身体の奥でしっかり捉えた。
俊介の若い身体はすぐに回復した。休むことなく動き続ける。おちかは息も絶え絶えになった。それでも身体は喜び応え歓喜の声をあげた。
激しい動きに、俊介とおちかの身体は汗みずくになった。熱き身体は一つに繋がったまま、いつまでも動き続けた。
冬真っ只中に夏あり。
つづく
読者の皆様本年はありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いします
次回は1月8日火曜日朝10時に掲載します
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