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            いじわるな女

 いつも、人の気に障る事をする。性格の悪い女がいた。


 今朝は、閉まる寸前のエレベーターのドア。駆けつけた私は無視された。


 昨日は、次のコピーを待っていたのに、終わるとしっかり蓋をして行く。


 今日はシュレッターの番を待ち、私の番だと前へ進むと、


「すみません。ダストが一杯です」


 と下扉を開けてダストを出し始める。


 先週、新入社員の歓迎会でたまたま私の前の席に座る。ビールを勧めるのでグラスを出すと、


「あら、日本酒でしたわね。ごめんなさい」


 と隣の同僚に酌をする。


 課長のお土産ですと配って来たお菓子、みんな二個づつなのに、


「少し足りないから、一個ね」


 なんで私だけと、口に放り込んで菓子袋を捨てようとすると、手元のごみ箱が無い。きょろきょろしていると、


「割れていたので、総務に替えを頼んであります」


 『ふん!勝手にするな』


 しかし、今日、偶然帰りの電車が一緒になった。帰りの電車内で見た彼女は、親切な心の優しいひとだった。席が離れていたので、彼女は私に気付いていなかった。


 二駅過ぎたところで、七十過ぎの老婦が、両手に荷物を持って、重そうに乗って来た。真っ先に、


「こちらへどうぞ!」


 と席を譲ったのは彼女だった。老婦は荷物を網棚に乗せるのは、断ったようだ。一つは膝の上に、もう一つは彼女が持った。そこから三つ駅を過ぎて老婦は降りた。


 その席に座ろうとすると、横に立っていた六十歳程の男、余程疲れていたのだろう、同時に座ろうとした。咄嗟に彼女は、


「どうぞ!」


 と又席を譲った。どっちが本当の彼女だろうと思った。私の浅はかな思い込みが、いじわるな女を作っていたのである。                


                        完