Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

           寝たふり

 「ばっかだなー。おまえ、サンタクロースがいると思っているのか?」


 友達に大笑いされても、信じられなかった。去年も一昨年もこれまでずっと、サンタクロースはやって来た。


 クリスマスの朝は、枕元の大きな風呂敷の下にプレゼントが並んでいた。もちろん、妹の枕元にも。2歳下の妹は今年小学1年生だ。


 一週間前、母の前で妹と並んで、サンタクロースさんにお願いをした。僕はピストル、妹はフランス人形を。今夜、サンタクロースさんは必ずやって来る。


 もう、9時になる。妹は眠っている。襖の向こうは、父と母の話し声が聞こえている。お茶でも飲んでいるようだ。


 困ったことだ。早く寝てくれないとサンタクロースさんが入れない。


『どうかピストルを下さい!約束は必ず守ります』


手を合わす。その時、襖が開いた。僕はしっかり目を閉じて寝たふりをした。


「寝たかな?」


 父の声だ。じっと手足を揃えて身体を動かないようにした。瞼をギュッとさらに閉じた。その時、襖がそーっと閉じられた。


 寝たふりがこんなに難しいことだとは思わなかった。襖の向こうから、父母の話し声がしている。


 どうして、大人は、いつもいつも話すことがあるのかな。いい加減にして欲しいな。サンタさん入れなくて困っているだろうな。


 いつの間にか、僕は眠ってしまった。


「お兄ちゃん!サンタクロースさんが来たよ。うれしいな!うれしいな!」


 とフランス人形を抱きしめて頬ずりしている。


僕も枕元の風呂敷を捲った。そこには、黒光りするプラスチック製の六連発のピストルとお菓子が並んでいた。


 やっぱりサンタさんは来た。母が襖を開けて入って来た。


「あら!良かったわね。サンタクロースさんにお礼言った?」


 僕は確信した。サンタクロースさんはいた。    完