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      食欲の飽き (9)

 いつものレストラン。和美がよそよそしい。


「かずちゃん、何だか変よ。何かあったの?」


「正直に言うね。五木さんに興味が無くなったの」


「あら、どうして?」


「だってね、こないだの帰り、電車一緒だったでしょ」


 和美は言いながら、和泉の顔から眼をそらして、


「和泉さんの事ばかり聞くのよ。あたし悲しくなっちゃった。おまけに、次は高円寺ですよと帰りを促すみたいなこと言うの」


「・・・・・・」


 和泉には答えようが無かった。


「考えてみたら、秋刀魚から始まったのよね。食欲の飽きが秋刀魚を誘ったの。心の飽きも案外早いものね」


「かずちゃん、うまい!その表現いただき」


「何よそれ!」


「心の飽きは、心の空きでもあるのよ。私達はお互いに、長い間心の空きだったでしょ」


「恋人がいないと言うこと?」


「そう、だから確かな眼を養う必要があるような気がするの。いつかは結婚するわけでしょう?」


「まあね、独身で一生いる気はないわね」


「だから、今回の出会いはチャンスよ!」


 和泉は真剣な顔になって言葉を続ける。


「男を研究するのよ。結婚したら終着駅よ。五木さんと田中さん何だか違ったタイプでしょう。良い材料だと思わない?」


「そうね、飲食代はタダだし。面白いわね」


 和美の目がキラキラ光り出した。


「それはだめよ。費用を持たせたら対等で無くなるわ。全て割り勘にするの」


 二人の会話がどんどん盛り上がって行った。


 明日にでも、和美が五木に飲み会の連絡をすることに決まった。


                                つづく

次回10回は12月15日朝10時に掲載します