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       食欲の飽き 4

 「あのね、木村さんて顔に似合わず結構へまをするらしいの。だから、大事な封筒忘れたのですって」


 和泉はふと木村の顔を思い浮かべた。しかし、それがどうしたのと言う顔をしてランチを食べ続ける。ここはいつものレストラン。


「でも、そのギャップが素敵よね。帰りにね、又ご一緒して下さいですって」


「かずちゃん、食べなさいよ。私食べ終わるわよ」


 少しぶっきらぼうに言った。


「私もう良いの。何だかお腹いっぱいなの」


「あらあら、恋わずらいかしら?」


「まさか、会ったばかりよ。そうそう、和泉さんによろしくお伝えくださいと伝言でした」


 今日は25日の給料日。皆いそいそと定時に退社する。銀行ATMは行列が出来る。


 もう直ぐ和泉の順になる。それとなく7台のATMを見回した。


あら!五木さんだ。気付く様子はない。偶然ってあるのね。


 やっと番が回って来た。通帳の記載を見ながら銀行を出た。


「和泉さん!先日はありがとうございました」


 五木が立っているではないか、


「いいえ、こちらこそご馳走になりまして、ありがとうございました」


 和泉は突然のことに、なぜか恥ずかしくなった。お化粧してくれば良かった。いつもは退社時にはさっと整える。


 今日は早く並ばなくてはと、そのまま出て来た。


「今日は懐が豊なんですよ。先日はちゃんとしたお礼が出来ませんでした。お食事でもご馳走させていただきませんか?」


「いえ、とんでもありません。先日ご馳走していただきました。それで十分過ぎます」


「近くにおいしい鰻屋さんがあります。うまいんですよ。是非ご馳走させてください!」


「いいえ、お心だけいただきます。それでは失礼致します」


 五木は前に立ち塞がった。


「それなら、お茶だけでもいかがですか?目の前ですから。このままだと僕の気が済まないのです。勝手ですがよろしくお願いします」


 人前で何度も頭を下げる。和泉は悪くなって、目の前の喫茶店へ一緒に入って行った。


                                  つづく

次回第5回は11月10日金曜日朝10時掲載です