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       食欲の飽き 3

 めっきり秋も深まり、駅までの通りは昼間のいそいそしたせわしなさは無くなり、赤ちょうちんや焼鳥の匂い漂う、ゆったりとした飲食店街に変わる。


 店の前に来ると五木が待っていた。


「昨日はありがとうございました。どうぞ!」


 と言いながら和美の来た方向へ目をやる。


「あのう、すみません。和泉さんは予定がありまして来られません」


「そうですか、残念ですね。どうぞこちらです」


 案内された個室には、男が座っていた。


 和美を見ると立ち上がり、


「昨日はありがとうございました。どうぞ、お座り下さい」


 昨日の、もう一人の男である。和美は言われるまま、奥の席に座った。四人席の個室である。


「和泉さんは予定があって、来れないんだって」


 五木は残念そうに言う。


「すみません、お言葉に甘えまして図々しくも一人で伺いました」


 和美は五木に会いたかったのである。


「とんでもありません。お飲み物は何がよろしいですか?」


 五木が聞く。まずはビールでとなり、お礼の乾杯から始まり和やかな宴となった。


 もう一人は田中と言い、五木の同僚である。


「こいつ、いつもへまをやるんですよ。あの封筒が出て来なかったら、首ですよ」


片手で自分の首を真横に流す、


「そうなんですよ、本当にありがとうございました」


 言いながら田中を見やって、


「でも、いつもへまはないだろう!」


「言い過ぎた。ごめんごめん!」


 五木は端正な顔立ちをしているが、ひょうきんな性格で、大事な会議を忘れたり、社バッチを無くしたりで始末書の常習者である。


「すみません、お届けしたのは和泉さんの方なんです」


 和美は居たたまれなくなった。


「いいえ、一緒に見つけていただいて、大変感謝しています。木村(和美)さんありがとうございました」


 気遣う五木に惹かれていく木村であった。


                                 つづく

次回第4回は11月3日金曜日朝10時です。