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   食欲の飽き 1

 「あら!良い匂いね。秋刀魚よ!」



「食べたい!ここにしよう!」


 二人は吸い込まれるように店に行った。


 いつもはレストランの日替わりランチである。珍しい事である。


「いらっしゃいませ!ご合席でよろしいでしょうか?」


「良いわよ!」


 小部屋に通された。奥の席に男が二人いた。夜は個室居酒屋になる。


 男二人は食べ終わると直ぐに出て行った。


「ね、見た?二人ともイケメンだったね」


「そうかしら?少し歳がいってる気がしたけど。あら!忘れ物!」


 二人の座っていた横に、A4の封筒が置いたままである。和泉は封筒を手に直ぐ追いかけた。しかし、店の前にも出たが、もう見当たらなかった。仕方なくレジに届けた。


「いた?」


「だめ、いなかったわ。レジに預けて来た」


「残念!私どちらもタイプよ。夜ここに来たら会えるかしら?」


「相手にされないわよ。おばさま!」


「おばさまって何よ!和泉さんより私は三つも若いのよ。まだうら若き乙女です」


「かずちゃん、乙女ってどういう意味か分かって言っているの?」


「失礼ね、おばさま。うら若き美しき女性のことです。残念でした」


 和美は今年35歳になる。


「ふーん!うら若き美しきはかずちゃんのこと?背負い過ぎるとこけるわよ」


「生まれ持っての美貌は隠しようがありませんの。おほほ」


 和美は片手を頬に当てて小さく笑う。


「かずちゃん、口元にさんまの油が付いているわよ」


「えっ、本当?あら、本当だ!」


 そこへ先程の男が戻って来た。


「ありがとうございました。お届け頂きまして助かりました」


「直ぐに追いかけたのですが見つかりませんでした」


「お手数をおかけ致しました。私は五木と申します」


 五木は二人に名刺を渡して去って行った。


「素敵ね。私にぴったりだわ。電話しようかしら?」


「かずちゃん!はしたないことは止めなさい」


 レジで支払いをしようとすると、


「頂いております。先程の方に頂きました」


 二人は顔を見合わせた。


                          つづく

次回第2回は10月20日金曜日朝10時です。