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         誤解 2.

 私どうかしていた。どうしてあんなに腹が立ったんだろう。ごめんなさい。なぜかわがままが言いたかったの。


 貴方のプレゼント選ぶのに一か月も悩んだのよ。デパート巡りしちゃった。


 やっと先週買ったの。いつも黒のセーターばかり着ているからベージュのセーターを選んだの。


 英国製のアラン模様のセーターを買ったの。きっと似合うわ。喜ぶわ。目に浮かぶ。貴方に渡すのが待ち遠しい。


 素敵なレストランでシャンパンで乾杯をしてプレゼントを渡すつもりでいたの。だから寂しくなったの。


 考えてみればレストランでなくても良いわ。貴方の喜ぶ顔が見たかったの。なのにどうしてあんなことを言ったのだろう。


 それに、会社が大変だと言っていたわ。苦しい状態だったのね。それなのに私・・・」


 ごめんなさい。本当にごめんなさい。私わがままになっていたの。それでもスマホを持ったまま躊躇っていた。


 スマホが鳴った。彼からだった。


「僕だよ。さっきはごめんね。予約取れたよ。Kホテルのスカイラウンジにしたよ。前に君と行ったところだよ」


「ごめんなさい。良いのよ、あなたの家でしましょう。断って下さい」


「ごめんね。僕が悪かった。でも運が良かったよ。まさか予約出来るとは思ってなかったから」


 スマホが切れた後、加奈子は胸が痛かった。苦しいのに無理をさせてしまった。樋口の明るい声がせつなかった。


 イブの日、待ち合わせてスカイラウンジに行った。夜景がキラキラと輝いていた。


 シャンパンで乾杯を終えると、加奈子がプレゼントを出した。


「はい、サンタさんからです」


「ありがとう!でも、僕は何もないんだ。ごめんね」


 すまなそうな顔をして言う。


「あら、ここを予約してくれたでしょ。素晴らしいプレゼントよ」


 夜景を見ながら顔を見合わせながら、改めてお互いの愛を確信した。そろそろ21時になる。


「今日はうちに泊まってくれる?このプレゼントのセーター。着て見せたいんだ」


「そのつもりよ。丈が短かったりして、どうしよう」


「はは、その時は身体を縮ませるから大丈夫」


「ふーん、器用なんだ!楽しみだわ」


 アパートに着くと部屋は綺麗に片付いていた。


「そこに座って、今着替えるね」


 嬉しそうに言いながら、包装を丁寧に開いた。


「あーっ、これ欲しかったんだ。高いから買えなかったんだ。ありがとう。着てみるね。目を瞑ってて」


 着替えると押し入れから大きな箱包みを出し、後ろ手に隠した。


「暖かいね。それにデザインが良い。気に入った。ありがとう」


「良く似合っているわ。良かった」


 加奈子はデパート巡りの甲斐があったと嬉しくなった。その時、目の前にリボンのついた大きな箱包みが出された。


「はい、クリスマスプレゼント」


「えっ、なに?私に?」


「開けてご覧!」


 箱が大きいし丁寧に開けるからなかなか包装が取れない。箱を開けると、


「あっ、コート」


 加奈子はじっと見つめたまま黙った。


「出して、着てご覧」


 嬉しくて胸がドキドキして来た。そっと丁寧に出した。カシミヤの黒のロングコートだった。


 欲しかった。前からずっと欲しかった。高いから躊躇していた。着てみると身体全体が温かくなってきた。


 こんな大きなプレゼントはお店では渡せない。やっと気付いた。みるみる涙が溢れて来た。


「ごめんなさい。本当にごめんなさい」


「良かった。喜んでくれて」


 加奈子を抱きしめた。身体が嗚咽で震え始めた。樋口がそっと顔を見ると涙いっぱいの顔を胸にうずめて来た。


                      つづく

次回は1月1日朝10時に掲載します