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                     覚悟の失業 4.

 「ここです。今探します」

「すみません、よろしくお願いします」

「数が大分少なくなくなりました。あればいいな」

 この店には自由に使える書籍の端末が備えてある。池田はそれは使わず直接探しに行った。

 短編集にはその中の代表的作品がタイトルとして付けられているから、直接探すしかないと思った。。

 端から順に表紙を開き、目次を調べた。12、3冊程調べているとそれは見つかった。

「ありました!これです」

 池田は嬉しそうに目次のページを開いたまま、彼女に見せ指で指した。乳房切断と書いてある。

「ありがとうございます」

「じゃ、僕はこれで失礼します。お元気で」

 本を渡すと離れて行こうとする。男を誤解していた自分が恥ずかしくなった。

「あのう、すみません」

 彼女は呼び止めた。男は聞こえなかったのかそのまま階段の方へ進んで行く。急いで追いかけた。

「すみません、お時間ありませんか?お茶でもいかがですか?」

 女性の私から誘ってしまった。

「良いですね。でもちょっと待っていただけませんか?1階の売り場に買いたい本があります。買って来ます」

「じゃ、私も1階に行きます。そこでお待ちします」

本は決まっていたらしく5分ほどで出て来た。

「お待たせしました」

「早いですね。少し歩きますがよろしいですか?」

「良いですよ。どこへでも」

 3分程歩いて、着いたところは高野フルーツパーラーだった。

「珈琲にフルーツサンドいかがですか?美味しいですよ」

「良いですね。ちょうど小腹が空いていたところです。頂きます」

 珈琲とサンドが届くと揃ってマスクを取った。池田の鼻はもうおかしいとは思わなかった。人懐っこく感じた。

 池田は彼女を見てドキッとした。明るい店内は互いの顔がはっきり見える。清楚で品の良い美人である。

「どうかしましたか?」

 急に俯いた池田を見て彼女は尋ねた。

「いいえ、やっぱり職業柄気になることがあったのですね」

「何のことですか?」

「本のことです。僕はラッキーです。まさか、もう一度ご一緒出来るとは思っていませんでした」

「どうぞ、食べてみて下さい」

 返事は無くサンドを勧められた。見つめられているようで手元がぎこちなかった。珈琲を飲むタイミングさえ忘れた。

「気になっているのは、プローベのすり替えの事でしょう?実は僕もまさかと思っています。そんなことが安易に行われるとしたら恐怖です。改めて読み直しました。1965年当時の事ですから、今の医療とはだいぶ違うと思いますが……」プローベ(試験切除)

                                                                                                   つづく

続き5回は明後日8月2日に掲載します