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         素敵な人 4.

 アパートに帰り着いた彼女は、テレビの前に座ったままじっとしていた。いつ電話が来ても良いように。


 何の番組を放送しているのか全く気にならない。目にも耳にも入らない。ただ、点けているだけ。


 19時を過ぎた。もうそろそろだわ。でも、目の前のスマホは微動だにしない。電話が来たら直ぐには出ないわよ。  


 待っていたように思われるから、そう、5回目のベルが鳴ったら出ることにしよう。スマホを見つめた。


 7時半を過ぎた。もう直ぐ8時になる。どうしたのかしら。忘れたのかしら。自分から電話番号を聞いたくせに…。


 気持ちが落ち着かない。珈琲を入れようと立ち上がった時ベルが鳴った。1、2、3、4、5、


「はい、栗原です」


「永井です。今日はありがとうございました」


「いいえ、こちらこそ」


「栗原さん、日曜日はお休みですか?」


「はい、休みですよ」


「池袋においしいお店があるんです。ご一緒頂けませんか?」


「予定があるんです。ごめんなさい」 


 あっ、言っちゃった。予定などないのに。どうしよう?


「そうですか、残念です。それでは次の日曜日はいかがですか?」


 永井のがっかりした声が伝わって来た。思わず、


「土曜日は休みですよ」


 思っていたことが口に出た。私、変だわ。


「では、土曜日はいかがですか?」


「良いですよ」


 あれ?素直に返事しちゃった。良いのかしら。


「良かった。嬉しいです。では、夕方6時にふくろうの前に待ち合わせでいかがですか?」


 この人、前もって場所も時間もを決めていたんだ。


「わかりました。ふくろうの前に6時ですね」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 簡単に承諾しちゃった。軽く見られないかしら。

私、変ね。どうしちゃったのかしら。


                     つづく

次回は2月21日金曜日朝10時に掲載します