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     素敵な人 3.

 こんなことってあるのかしら、私と同じことをこの人はしてる。私が気になったって本当かしら。


「しまった!乗り過ごした。降りなくてはと心残りでしたが大塚で降りました」


「……」


 私も同じ思いだった。返答が出来ない。男は言葉を続ける。


「ふと振り向くとあなたも降りた。当然出口に向かうのだと思い、見ていると向かいのホームに立った。驚きました」


「……」


 私は恥ずかしくなって黙っていると、男は照れくさそうな顔をして、


「電車が入って来ると、思い切ってあなたの横に立ちました。胸がどきどきしていました」


「考え事していまして、うっかり乗り過ごしてしまいました」


 彼女は恥ずかしそうに答えた。


「おかげで、こうしてお茶をご一緒出来ました。思い切って声を掛けて良かったです」


「ひょっとして、いつもこうしてお声をおかけになってます?」


 彼女は少し余裕が出て、いたづら心が起きた。にっこり笑いながら言う。


「とんでもありません。初めてです。見ず知らずの女性に声を掛けるなんて、したことありません」


 あわてるように言う。素敵な紳士だと思っていたが、何だか可愛いと思った。


「僕、永井と言います。失礼ですが、お名前教えていただけませんか?」


 ほら来た。これがパターンなのね。素敵な紳士だと思っていたのに…。でも良いわ。教えてあげるわ。


「栗原と言います」


「栗原さん、また会っていただけませんか?僕はこれから会社に戻らなければなりません。自分から誘っていながらすみません」


 はい、と言いたかったが安っぽく見られたくないので、黙っていた。


「是非会っていただきたいのです。これ、僕の名刺です。携帯の番号書いておきます」


 名刺の裏に携帯番号を書いて差し出した。


「栗原さん、携帯の番号教えていただきませんか?」


「良いですよ」


 男はえっと驚いた顔をしたが、急いでスマホを出した。


「何番ですか?」


 男は嬉しそうな顔をして入力した。


「ちょっと電話してみます」


 ルルッと彼女の携帯が鳴った。男は恐る恐る聞いた。


「今夜、お電話して良いですか?」


「良いですよ」

 

 彼女はすんなり答えた。男は満面の笑みで、


「よろしくお願いします」


 彼女は躊躇なく答えた自分が、何だか変だと思った。


                      つづく

次回は2月14日金曜日朝10時に掲載します