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      百円玉と雨 7、

 男はいつもは遠慮深い性格だった。しかし、今日は違った。即座に、


「はい、ご馳走になります」


 彼女は、気さくに返事を返した男に嬉しくなった。心は多分断るだろうと思っていた。


「どうぞ、お入り下さい」


 入口の板張りはそのままキッチンに繋がっていた。テーブルに二つの椅子。その前が流しだった。


 彼女は湿布して包帯で足首を固定すると大分楽になったようだ。右足をかばうように一歩ずつ歩いた。


 冷蔵庫から冷凍したカレーのタッパー(20×15㎝)を出そうとした。右足を完全に着地させていないので持つのにためらった。


「手伝いましょう」


 すぐ横に男がにっこり笑っていた。


「ありがとうございます。助かります」


「僕もお手伝いする!」


 佑汰がそばに来た。


「じゃ、カレーのお皿わかる?出して頂戴」


 カレーを鍋で温め、ご飯は炊飯ジャーにある。簡単に食事の用意が出来た。ただ、椅子2つしかない。


「僕の椅子持ってくる」


 佑汰は勉強机の椅子を運んできた。3人の食事が始まった。佑汰がスプーンでにんじんを皿の横に集めている。


「佑汰、それは何ですか」


「残さないよ!最後に食べるんだよ」


「佑汰君は、にんじん嫌いだったんだ」


「そうなんですよ、私が目を離した隙に捨てるのですよ」


「違うよ、ちゃんと食べてるよ」


「すぐ横がゴミ箱でしょう。後でわかるのです」


「そうなんだ、おじちゃんも子供の頃にんじんが大嫌いだった。濃い変な味がするからね」


「あのう……、何とお呼びすれば良いのでしょうか?お名前伺ってませんでしたね」


「すみません、僕は五木と言います。失礼しました」


「ごめんなさい、私もでした。香山と言います。五木さん、佑汰を叱って下さい。にんじん食べないのですよ」


「おじちゃんは、良い方法を知ってるんだよ」


「ふーん、見つからないように捨てる方法?」


「あのね、そこにマヨネーズをかけてごらん」


 佑汰は母親に出してもらったマヨネーズをかけた。


「もっと山盛りにかけるんだよ。はい食べてごらん!」


 佑汰はちょっと嫌な顔をしたが、おじちゃんが言うから食べないと悪いと思った。


「あれー!おいしい、おいしいよ!」


「こうして食べると良いんだよ。おじちゃんが子供の頃発見したんだよ」


 五木は得意満面な顔をして言う。


                       つづく

次回は8月9日金曜日朝10時に掲載します