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   百円玉と雨 5.

「お母さんが、転んじゃった。助けて!」


「よし、行こう!」


 佑汰は走った。男は後ろはもどかしく前に出た。


「この先?」


「その先を曲がったところ」


 佑汰は走りながら、息を切らしながら言う。


「右?左?」


 交差点に来ると、男は言いながら右へ曲がった。曲がったすぐ先に座り込んでいる彼女が見えたからである。


 幅5m程の狭い道である。幸いにも車の通りは少ない。男は駆け寄った。


「大丈夫ですか?」


「すみません、足を挫いたようです。でも大丈夫です」


 見ると右足首を両手で抑えていた。余程痛いのだろう。白い顔が青ざめていた。


「救急車呼びましょうか?」


「いえ、大丈夫です。捻挫ですから。もう少し休めば

歩けると思います」


 言いながら立ち上がろうとする。男は咄嗟に手を取って抱えるようにして手助けをした。歩くのはとても無理だった。


 そばに長さ5cm程の小石が転がっていた。これを踏みつけたのだろう。


「おぶって行きます。背中に来てください」


 彼女は一瞬ためらったが、帰る方法はそれしかない。恥ずかしそうに男の首横に手を回し、そっと身体を寄せた。


 男は後ろ手に手を回した。お尻を抱え込むように持ち上げた。二人とも恥ずかしそうだった。


 男は気まずさを隠すように何気ないふりをして、


「佑汰君、家に案内して」


「うん、ついてきて」


 佑汰に続いて、男は彼女を背負い歩いた。母親と言っても男と同じ30歳半ばであろう。しかも自分好みの美人である。


 歩きながら柔らかな胸の感触が背中にある。意識しないようにしていたが、頭がぼーっとなってきた。


「おじちゃん、そこのアパートだよ。二番目の部屋だよ」


 佑汰が戸を開けて抑えてくれた。男は彼女を入口の板張りに、ゆっくり気を付けながら座らせた。


「ありがとうございました。おかげで助かりました」


「痛みますか?今日は病院は休みですが、救急なら見て貰へます。傷みが酷いようならお連れします。大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。以前にも捻挫したことがあります。病院では湿布するだけでした。だから大丈夫です」


「湿布か湿布薬ありますか?早く湿布した方が良いですよ」


 男は僕がしてあげますと言いたかったが、女性の足だからためらった。


「佑汰に買いに行かせますから大丈夫です」


「それなら僕が買ってきます。待っていて下さい」


 男は出て行った。スーパー近くのドラックストアへ、駆けるように急いだ。


                       つづく

次回は7月26日金曜日朝10時に掲載します