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   百円玉と雨 1.

 雨はしとしとと止む気配を見せない。今日で3日も続いている。梅雨真っただ中。今日は日曜日。


 男は立ち上がると、CDをかけた。モーツアルトのヴァイオリンソナタ34番。しとしと雨がころころと踊りだす。


 ごろっと横になった。両腕を枕に、見るともなく天井を眺めた。明るいメロディのせいで気分も明るくなってきた。


 いつの間にか雨が上がった。空はまだどんよりしているが、買い物に行くなら今だと思った。


 昨日は休みにも関わらず、降りしきる雨に買い物に行けなかった。


 男は土曜日を買い物の日と決め、1週間分のまとめ買いをしていた。今日の食べ物は何もない。


 スーパーは歩いて10分ほどのところにある。途中小学生ぐらいの男の子に出会った。


 しゃがむようにして、道端を見回している。


「どうしたんだ?」


 男の子はびっくりしたような顔をして男を見た。


「お金落としたの」


「そうか、おじさんも探してやろう。いくら?」


「百円玉なんだ。転んだ拍子に落としちゃったの」


 10分程探したが見つからない。


 男は明るい少し大きな声で、


「あった!見つけたぞ、ほらここにあった」


「ありがとうございます」


 男の子は嬉しそうに百円玉を受け取った。


「佑汰!どうしたの?」


「あのね、お金落としたの。それでね、おじちゃんが拾ってくれたの」


 女性が駆け寄ってきた。30歳半ば程であろうか、優し気な目をした綺麗な人だ。


「ありがとうございました。お世話をおかけいたしました」


「いえ、とんでもありません」


 男は女性が綺麗なので心がドキッとした。


「じゃ、私はこれで」


 男はスーパーの方へ歩き始めた。


 母子も続いて歩き始めた。男の子にいつもの豆腐を買いに行かせた。遅いので心配で見に来たのである。


「あっ、百円玉だ!」


 男の子が拾い上げた。


「え、どうして?」


 男の子は二枚の百円玉を手にして、首を傾げた。


 探していた所より5メートル程先である。コインだから思いがけなく遠くへ転がったようだ。


                       つづく

次回は6月28日朝10時に掲載します