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     百円玉と雨 14の1、

 「良いよ、いつでもなってあげるよ」


 五木は簡単に返事をした。そして、あっと口を押え彼女を見た。彼女はにっこり笑っていた。五木はほっとした。


「本当?」


 と、佑汰は言って、母である彼女を見て言った。


「お母さん!おじちゃんがお父さんになってくれるんだって」


「えっ!」


 彼女は絶句した。が、すぐ思い直した。意味はないの。これは子供の会話よ、本気になって馬鹿ね。


「そう、良かったわね」


 彼女はにっこり笑いながら言う。でも本当にそうであったら良いと思っていた。子供は無邪気で良いと羨ましかった。


「じゃ、お父さんと呼んで良い?」


「良いよ」


 五木は引っ込みがつかず、照れ笑いしながら返事をした。


「お父さん、泳ごうよ!」


 佑汰は五木の手を引っ張り立ち上がらせた。五木は彼女に向かって、


「すみません!」


「いいえ、ご無理を言って申し訳ありません」


「何してるんだよー!早く行こうよ」


 佑汰に急かされた。五木は心が甘酸っぱい気持ちになった。空と海が大きく輝いている。希望が湧いて来た。


「よし!海まで競争だ!」


 残された彼女は、二人の言葉を思い出し胸がきゅーっと締め付けられた。ほんのり顔を染めた。


 彼女の心に男性不信の気持ちは、いつの間にか消えていた。五木の笑顔が頭いっぱいに浮かぶ。


 淡い思いの中、スーッと心に冷たい風が吹いて来た。私、若くないの。37歳よ。おまけにこぶつき。夢を見てはだめ。


                        つづく

次回14の2は9月27日金曜日朝10時に掲載します