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    百円玉と雨 10.

 「佑汰君、お寿司好き?」


「うん!僕大好きだよ!」


 後ろから彼女が続いて出て来た。


「先程はありがとうございました」


 五木は1時間前に帰ったばかりだ。思いがけないことで嬉しかった。心に灯がともったように華やいだ気分になった。


「香山さん、お昼はご馳走さまでした。買い物に行ったらお寿司がおいしそうでした。一緒にどうかと思いまして」


「おじちゃん!食べたいよ。早く食べようよ。中に入ってよ!」


 彼女の返答の前に佑汰が返事した。


「申し訳ありません。どうぞお入りください」


「やったー!僕、椅子を持って来るね」


「すみません、しつけが悪くて……」


「いいえ、佑汰君は良い子ですよ。優しいお子さんですね」


 キッチンは夕食の支度が始まっていたらしく、ウインナー、卵、豆腐等出たままであった。


 そのせいもあってか、すぐに豆腐の味噌汁が出された。五木は、「うまい!」と思わず口に出した。


 具は豆腐とあげとねぎ。五木の一番好きな味噌汁だった。


「このえび全部食べても良い?」


 佑汰が母に聞く。


「いけません、みんなで食べるのですよ」


「良いよ、全部食べたら良いよ」


 五木がすかさず答える。


「すみません、この子はえびといくらが大好きなんです。でも、いつもはこんなこと言わないのですけど…」


 和気あいあいの食事だった。食事の後は、さすがに遊び疲れたらしく、佑汰はごろりと横になると眠ってしまった。


 二人はテーブルに座り珈琲を飲み始めた。


「佑汰君かわいいですね。いつも賑やかで楽しいでしょう?」


「いいえ、いつもは黙って一人遊びしています。それに人見知りが激しくて、挨拶も出来ないのです」


「そうですか、考えられませんね」


「こんなに嬉しそうにしている佑汰は初めてです。どうしたのでしょうね」


「それは嬉しいですね。実は僕もいつも一人遊びです。良い友達が出来ました」


「ほほほほ」


 と彼女は転がすように笑った。その声に佑汰が起きた。


「あっ、ずるいよ。お母さんと二人で遊んでる。僕も入れてよ」


 五木は二人で遊んでると言われどきりとした。二人きりだったのだ。彼女も照れているように見えた。


                       つづく

次回は8月30日金曜日朝10時に掲載します