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    百円玉と雨 4.

「えっ!お母さん!また勝っちゃった!」


「続けて3回目です。すごいですね」


「運が良いのかしら?ごめんなさい」


「お腹空いちゃった。お母さん」


 佑汰はゲームに意欲を無くした。母親が来るまで殆ど勝ち続けていた。剣を樽に刺すだけのゲームである。手心は加えられない。


「それじゃ、お昼にしましょうね」


「おじちゃんも一緒に食べようよ。僕んちに行こうよ」


「ありがとう、でもね、おじちゃんは買い物があるんだ。ごめんね」


「どうしてよ、買い物は後ですればいいじゃない」


「ご無理を言ってはいけませんよ。今日はありがとうございました」


 母子は帰って行った。男は取り残されたような寂しい気持ちになった。立ち上がると店内をいつもの順に歩き始めた。


 彼女のにっこりした笑顔が頭から離れない。どんなご主人だろうと嫉妬の気持ちが湧いた。


 女性の本当の良さは、結婚して妻になった時にわかる。だから、離婚が多いのだ。世の中は不合理だ。


 結婚前の女性はどんな妻になるかわからない。賭けをするようなものだと男は思った。


 女性は妻になった時、本当の姿がわかる。だから、妻から選ぶ。それは道徳的に許されない。又、法律が許さない。


 男はこれまでに、二度の恋をした。二度とも自然消滅をした。男は彼女が妻になったらどうなるんだろうと考えた。


 そして、一歩引いたところで彼女を見ていた。それは、彼女にも伝わった。本心に愛は無いのだろうと去って行った。


 男の心の底には強い女性不信があった。子供の頃、心に植えつけられた。男の小学6年の時、二度目の母が来た。


 それまで父は、母になる人を二人連れて来た。男には母は亡くなった母しかいないと、二人とも頑強に拒否した。


 ある時心境の変化が起きた。先生をしていたのなら宿題を見てもらえると、単純に考えて承知した。


 最初は優し気な人だったが、父のいるときといないときではまるで違う人だった。殴られたり蹴られたりもした。


 食事すらお腹いっぱい食べさせてくれなかった。どんなに優しそうにしていても、女には裏の顔があると思うようになった。


 だから本心で女性を好きになれなかった。だから、母親になった時の姿を見なければわからないと思っていた。


「おじちゃん!」


 佑汰が走り寄ってきた。帰ったはずだが……。


                       つづく

次回は7月19日金曜日朝10時に掲載します