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    男の面目 4(最終回)

 午前中最後5社目の訪問は、S商事現地法人社長。シンガポール印刷7周年の挨拶回りと言いながら、営業も兼ねている。


「存じております。毎月5部のご購読ありがとうございます。こうして、7周年のご挨拶回りさせて頂いておりますと、ご要望を沢山いただきます」


「それは情報格差でしょう?」


「おっしゃる通りです。時差が1時間あります。しかし、ご心配なく情報格差はありません。むしろ都内中心部以外より、こちらの方が早いと思います」


「どう言うことです?」


「中心部は印刷の関係で最終版が配られております。シンガポールは最終原版から印刷しておりますので同じです」


「ほう、それはありがたい。安心しました」


「ところが、問題が生じております。シンガポールはお国柄、オフィスの土曜日曜日は完全に休みです」


「ははは、オフィスでの禁煙もね。慣れましたがね。それが何か?」


「会社は休みですから、土曜日の新聞を月曜日にご覧になっている方が多いようです」


「実は国内のみならず、週末は事が起こりやすいと言われております。土曜日の紙面は重要な場合が多いのです。月曜日に3日遅れの情報をご覧になって安心出来ますか?」


「意味が理解できませんが…」


「社長は新聞をオフィスでご覧なっていらっしゃるでしょう?」


「もちろんそうです」


「重要な金曜日の情報を3日遅れで月曜日にご覧なっているのと同じです」


「先日の山一さんの時も土曜日の掲載でした。山一さん社内でも1部の役員にしか知らされておらず、支店長クラスは店頭に買いに走られたようです」


 社長は一瞬沈黙したが即座に、


「個別配達は出来ますか?自宅へも配達お願いします」


 当然の事であった。日本に戻ればそれなりのポジションが用意されている。3日遅れの情報は致命傷になり兼ねない。


 『3日遅れの情報をご覧になって安心出来ますか』


 男はこの一言で状況を一変させた。


 Ⅹ社シンガポール社長は元金融新聞編集長であった。取材でも100発100中はないと言わしめた。


 男は最終的に法人営業部の部数を僅かだが抜いた。死ぬ気になって考えれば、答えは必ずあると確信した。 


                        終わり

次回は3月8日金曜日朝10時に新作を掲載します