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        男の面目 2

 それは20年前1997年のことである。X新聞がシンガポールで現地印刷を始めて7年目の年である。


 日本とは1時間しか時差は無く。新聞情報のスピード化は当然のことであった。


 当時は、不動産バブルからようやく立ち直りを見せていた。しかし、政府は景気回復より財政再建を優先した。


 橋本構造改革である。超緊縮財政が組まれた。又消費増税も重なり、景気は再び急速に悪化した。


 4月の日産生命の破綻に始まり、拓殖銀行、山一証券、徳陽シティ銀行等の破綻が相次いだ。


 当然X新聞の部数にも影響した。販売局は7周年を旗頭に部数調整に乗り出した。


 海外の営業は法人営業部と決まっていたが、初めて一般営業部からも人材を出すことになった。


 法人営業部から1名、一般営業部1名の選出となった。一般営業部からは男が選ばれた。


 男は英語が苦手だった。それを理由に断ると、訪問する現地法人代表は全て日本人。英語の必要無しと却下された。


 海外法人への営業は特殊な営業をしていた。日頃取引のある日本国内の本社で、予算等を得てから現地法人社長を訪問をした。


 一般営業部は、中小企業や零細企業が営業先であり海外に支所営業所は皆無だった。


 法人営業部は、出張前にほぼ予算を確保していた。男は戦う前から負けを宣告されたようなものだった。


 男は眠れない日が続いた。出張が何かのアクシデントで中止になることを祈った。だが予定通り出張は敢行された。


 Ⅹ新聞シンガポール社では毎日10社前後の訪問先を指定して来た。受付の英語はやっと聞き取れた。


 ベテラン運転手の案内であったが、時間の配分が難しい。長話は禁物。男の思う予算の半分しか出来なかった。


 何か方法があるはずだ、必ずある。男は毎日必死に考えた。一方で恥はかきたくないと苦しんだ。ついに死を考えた。


                       つづく

次回は2月22日金曜日朝10時に掲載します