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        独身主義 7.

 高橋と水野は一瞬驚いたが、係に黙って付いて行った。そこは窓際の席で、眼前に新宿の夜景がキラキラと輝いていた。高橋は胸がわくわくしてきた。


「飲み物はカクテルで良いですか?」


 メニューを見ながら高橋が聞いた。


「お酒は弱いのですが、大丈夫でしょうか?」


「大丈夫です。ではマンハッタンにしましょう。アルコールの少ないカクテルです」


 決して少なくはないが安心させたかった。チェリーの入った素敵な雰囲気のカクテルである。


 二人だけの席で、お互いに緊張していた。高橋は何か話そうと思うが言葉が見つからない。水野は夜景を見つめた。


 高橋は少し不安になって来た。自分より8つ年下で美人過ぎる。吉田に引き合わせられたが交際は無理だと思った。


 サーブされたカクテルで乾杯をした。彼女はにっこり笑ってグラスを合わせた。高橋はそれだけで嬉しくなった。


 彼女は夜景を再び見つめ始めた。その横顔がポートレートの様であまりにも素敵で、高橋は彼女を見つめていた。


 その時、ぽつんと彼女が話しかけて来た。


「こういう夜景を見ていると、バックに音楽が流れてくるような気がします」


 何だか寂しそうだった。気付かぬふりをして、


「どんな音楽ですか?」


「星影のステラです。キースジャレットのピアノが聞こえてくるような気がします」


「ビクターヤングの曲ですね。ジャズはお好きですか?」


「はい、キースジャレットの演奏は大好きです」


 意外な展開になった。そこからジャズピアニストの話題になり、話は次から次へと広がって行った。


「お代わりしませんか?この夜景にピッタリな、爽やかなミントのカクテルがあります」


「酔ったらどうしましょう?」


「大丈夫です。アルコールは今のよりもっと少なめです」


 二人のテーブルにモヒートが運ばれてきた。ミントの清涼感と爽やかな味の甘いカクテルである。


「美味しい!モヒートと言うんですか?ミントの葉が瑞々しくて綺麗ですね!」


 彼女はグラスを持ち上げぐるりと回しながら言った。


「綺麗なのは水野さんですよ。どんなカクテルも負けます」


 高橋は自分でも驚くようなことを言ってしまった。


「そんな、ご冗談を・・・」


 水野の顔は、酒のせいかほんのり赤くなっていた。


                      つづく 

次回は5月15日金曜日朝10時に掲載します