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         独身主義 16.

 誘いはしたものの、はたと困ってしまった。どこへ行こうか。全てはありきたりの店で、行く店が思いつかない。


 高橋はエレベーターの中もで考えたが、食事に合わせた相応しいところ思いつかない。降りたところで向き直って、


「水野さん、どこか良いカフェありませんか?」


「私も新宿には、たまに買い物に来るだけで良く知らないのです」


「ごめんなさい、丸ノ内線の地下道には色々あるのですがここから距離がありますので、この辺りで探してみますか?」


「はい。その方が良いですね。探しましょう」


「じゃ、京王線側の地下街に行きましょう。すぐそこですから」


 カフェはすぐ見つかった。高橋には満足のいく店ではないが、探す時間を取られたくなかった。


 入口は狭かったが中は広く、30席ぐらいはあった。奥の席が空いていた。二人は珈琲を注文した。


「こんなとこでごめんなさい」


「全然、大丈夫ですよ。明るくて良いですね」


「そうだ、聞こうと思っていたんだ。演奏の話だけで水野さんの事何にも聞いてなかったですね。楽器は何かやられますか?」


「はい、中学生までピアノを習っていました。でも3年になると受験で辞めました」


「それは残念。でもそんな気がしていました。今はどうなんですか?」


「はい、CDでピアノ演奏を聴くようになって自分でも弾きたくなりました。真似事でピアノを弾いています」


「えっ、ピアノがあるのですか?」


「はい、アパートですからピアノと言っても電子ピアノです。ヘッドホンで聞いています」


「だから、ピアノの話は良く知っていらっしゃったのですね。どんな曲をお弾きになるのですか?」


「いま、ミスティを練習中です。難しくて大変です」


「凄い!ミスティは僕の大好きな曲です。実は山本剛のミスティを聞いてジャズピアノが好きになったのです」


「山本剛ですか?聞いたことがありません」


「それなら是非聞いて下さい。今度お持ちします」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 水野は言いながら、いつ貸して貰えるるのだろうと思った。今度の土日では一週間も先である。


「明日、お会い出来ますか?出来たら早くお渡ししたいのですが」


 高橋は駄目だろうと思いながら聞いてみた。


「はい、会社の帰りで良いですか?」


「もちろんです。このカフェにお待ちします。時間は何時頃が良いですか?」


 高橋は予想外の返事に嬉しくなり、時間を聞いた。


「6時に退社しますので、7時頃になりますがいかがでしょうか?」


「僕もその頃になります。このカフェで待ってますね」


「うわー、嬉しい!今日はこのピエール・ビュゾンを聞いて、明日はミスティですね。最高です」


                     つづく

次回は7月17日金曜日朝10時に掲載します