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           独身主義 11.

 退社すると新宿に向かった。西口交番前である。すぐ向かいの飲食街等を下見したが、彼女と一緒を考えると止めた。


 結局、目当ての日本料理店の入っているデパートの中を下見した。9階にテラスのあるカフェを見つけた。


 14階には、目指す日本料理店があるのでここに決めた。テラスは屋上続きでロケーションが良い。


 デートコースが決まると安心した。と同時に土曜日が待ち遠しくなった。彼女の顔が浮かぶ。胸が高鳴った。


 そうだ、CDを買いに行こう。プレゼントしよう。まてよ、それではそれで終わる。貸すことに決めた。


 貸せば返してくれる。だから、また会うことが出来る。初めて会った彼女に、今後の会うための理由を考えている。


 独身主義は、最初の彼女に振られた時からである。悔しくて女性不信に陥った。そして、女性は不要と思い至った。


 女性がいなくても人生は困らない。食事は外食。掃除洗濯は全て電化製品がある。不自由はない。独身として自由に生きる。


 独身主義に変化が来たのは、35歳になった時のこと。40歳にはすぐになる。これで良いのかと不安になった。


 それから趣旨替えをした。しかし、簡単に彼女が出来るわけがない。吉田には恥ずかしくて、独身主義で通した。


 当時の吉田に最初の彼女の話をしたことがある。自慢したわけではないが、吉田はいつも羨ましそうに聞いていた。


 その女性は5つ年上だと言うと、吉田はそれも羨ましがった。20代の男性は年上の女性に憧れる傾向にあった。


 彼女に振られたと話すと、理由を聞いた吉田は憤慨した。勝手すぎる。きっと彼女は不幸になるぞと慰めてくれた。


 1年後、先輩女子社員に彼女から披露宴の招待状が届いた。社員は彼女と同期入社だった。課員全員に知らせた。


 先輩社員は招待されて帰って来た。素敵な披露宴だったと話す。他の女子社員は結婚相手のことを聞きたがった。


 先輩社員が言うに、背が高くてイケメンだったと言う。一流企業で札幌には課長職として転勤したこと等も話した。


 課員の誰もが祝福し羨ましがった。高橋が悲しく聞いていることなど誰も知らない。そして辛かった。


 その日、吉田を誘って飲みに行った。吉田は、なぜか無茶飲みをする高橋にわけを聞いた。


 話を聞いて吉田は、そんな女は手が切れて良かったよ。悪女と言うんだ。結婚してもろくなことは無い。


 高橋はそこまで聞いて、結婚を申し込むつもりでいたことを思い出した。自分が情けなかった。


 以来、女性は信じないことにした。そして独身主義を公言した。それから10年が経った。


 友人の中で彼女がいないのは自分だけになった。吉田さえも彼女が出来た。吉田の話に羨ましく思うようになった。


 最近では、彼女がいない口実に独身主義を掲げた。吉田は見抜いていた。


                       つづく

次回は6月12日金曜日朝10時に掲載します