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      淡き想い 5 (最終回)

 まさか、小遣いを減らされるとは思わなかった。確かに物価は上がっている。給料は増えない。


 半年後には子供が生まれる。彼女は来月退職する。これから三年間は専業主婦として子育てをすると言う。


「大丈夫よ、三年間は貯金があるからお金の心配はいらないわ」


「馬鹿なことを言うな!僕が夜間などにアルバイトするよ」


「そんなことしたら、身体壊すわよ。今のままで良いの。只ね、少し協力して欲しいの」


「協力って?」


「お小遣いを1万円減らして欲しいの」


「えっ、あっ、良いよ」


 男は思わず返事をしたが後悔した。


 二年前に結婚した時、男の小遣いは5万円彼女は3万円と決められた。


 慣れるまで大変だった。それまで好き放題使っていたから、友人との交際等苦労した。


 とは言っても飲み代が殆どだった。友人も家庭持ちは付き合いにくいとか言って理解してくれた。


 本当に困ったのは書籍代金だった。彼女に相談すると5千円までは家庭経費にしてくれた。


「ところで、貯金してたの?」


「そうよ当たり前でしょ!もう二十年近くになるわよ。あたし偉いのよ」


「ふーん、結婚前からなんだ。いくらぐらいあるの?」


「それは秘密。人生は全てに計画性が無ければいけないのよ」


「あっ、煙草も止めて下さいね」


「外で吸ってるから大丈夫だろう?」


「寿命が十年縮まるそうよ」


「そうか、僕の身体を心配してくれてるんだね」


「そうよ、元気で働いてくれないと子供の学費とかこれからかかるのよ。それと、もう一人欲しいわ」


「えっ、そんなことまで計画してるのか!」


「当たり前でしょ!一人っ子じゃ可哀そうよ。だから元気でないと頑張れないでしょう」


 ボールペンを拾ってくれた、あの日の優しい素敵な彼女はどこに。


 淡き想いに胸を焦がしたあの彼女はどこに行ってしまったのだろう。 

 

 泡き想い。それでも男の心はぽかぽかと温かく、夢と自信に満ちて来た。


「よし!今夜は頑張るぞ」       


                       終わり

 次回は新作です。2月23日金曜日朝10時に掲載します