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         淡き想い 4

 乗り換え駅が近づくと男は迷った。目の前に立っている以上乗り換えるなら先に動かなくてはならない。


 彼女はどうするのだろう?乗り換えのアナウンスが始まった。彼女の隣の男性がタブレットを鞄に入れた。


 電車がホームに入り始めると、その男性は立ち上がった。男は入れ替えに彼女の隣に座った。


 電車が走り始めると男はどきどきしてきた。話しかけるチャンスだ。思い切って、


「先日はボールペンありがとうございました。おかげで助かりました」


「いえ、どういたしまして」


「新宿ですか?」


「はい」


 男にはそれ以上話すことが思い浮かばない。二人は黙ったままだ。もうすぐ新宿に着く。男は焦りもあり迂闊にも、


「今日は乗り換えられないのですね」


 彼女はえっと言うような顔をしたが、


「はい、今日はお休みですから」


「そうですか、良いですね。お買い物ですか?」


 男は余計なことを聞いてしまったと思ったが、


「はい、K書店へ行きます」


 彼女は気楽に答えた。


「えっ、そうですか。実は私もK書店へ行くところです」


 男は咄嗟に嘘をついた。


「あら、偶然ですね」


「本当ですね、仕事の関係もありまして良く行きます」


「書籍関係のお仕事ですか?」


「ええ、まあ、そんなところです」


 新宿に着いた。K書店は駅から地下道で繋がる。当然二人は同じ方向に歩いた。


 男は自然なふりをして彼女と並んだ。


「どんな本がお好きですか?」


「時代小説です。特に短編が好きです」


「作家は誰がお好きですか?」


「作家にはこだわりません。ぱらぱらと拾い読みして選んでいます」


「僕もそうです。作家のオムニバス等は、意外な発見があります。読まず嫌いな作家の発見です」


「私も同じです。作家も内容もどんな本が見つかるかな?て。ちょっとオーバーですが宝探しの気分です」


「そこに喫茶店があります。ちょっと珈琲でも飲んで行きませんか?」


「ええ、良いですわね」


 男はまさか彼女がOKするとは思っていなかった。


                      つづく

次回最終回は2月16日朝10時に掲載します