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       愛すればこそ 4.

 湯の中で足の先がゆるゆると伸びるように温もって来た。嬉しかった。涙がこぼれて来た。いつもの優しさに。


 でもゆっくり入るわけにはいかない。身体が温もると湯を出て用意された下着をつけガウンを着た。


「ありがとうございました」


 彼はストーブの前で、私の着て来た服を乾かしていた。黙っている。下着とガウンは私の置いてあるものだ。


「すみません、私がやります」


 胸が熱くなって来た。涙が又こぼれて来た。愛している。心から愛している。私、何がいけなかったの。


 20分程して服は乾いた。その間二人は黙って服が乾くのを見ていた。黙って服を渡された。


「ありがとうございました」


 ガウンを脱いで服を着た。床に手を付いて、


「ごめんなさい。気付かない私が悪いのです。必ず直します。教えて下さい」


 彼は黙って珈琲を入れてくれた。


「飲みなさい」


「必ず直します。どうすれば良いですか?」


「飲んだら帰るんだな」


 冷たい一言だった。さらに言葉を続けた。


「残してある衣類は全部持って帰ってくれ」


「ごめんなさい。私が悪いのです。気付かない私が悪いのです。必ず直します。許して下さい」


 床に頭を擦り付けぬばかりにして言う。


「馬鹿を言うな、直しようがないじゃないか」


「いいえ、必ず直します。教えて下さい。どうすれば良いですか」


 その言葉の後、少し間があった。彼は苦虫を噛み潰したような顔をして、


「よくも騙し続けてくれたね。たまたま見かけたから良いが、それが無かったら一生騙されるところだった」


「えっ!何のことですか?教えて下さい」


「一昨日のことだ。そう言えばわかるだろう」


「わかりません!何のことですか?」


 彼女は必死になって言う。


「そうか、まだとぼけるのか。では言ってやろう。君の駅近くのスーパーでのことだ」


 彼女は直ぐに思い当たった。


「違います!あれは弟です」


「よくもそんな見え透いたことが言えるもんだ。もういい、帰ってくれ!」


                       つづく

次回は1月17日金曜日朝10時に掲載します