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    愛すればこそ 2.

 一昨日、上司から札幌支社への転勤を告げられた。2か月後の3月からの着任。課長昇進。37歳、早い昇進である。


 天にも昇るような気持だった。しかし、転勤は彼女のことを思うと複雑である。結婚はしていないが、彼はその気でいた。


 付き合い初めて2年になる。近々話すつもりでいた。その矢先のことである。何と話せば良いか答えが見つからない。


 彼女に会おうと思った。明日は金曜日。週末は彼女が訪れる日。しかし、今日どうしても彼女に会いたくなった。


 彼女のアパートは、京王線。駅を出るとスーパーに入って行った。缶ビールを買って行こうと思った。


 酒売り場の近くで、偶然彼女を見かけた。彼女は気付いていない。驚かすつもりで遠巻きに近寄って行った。


 彼女は品物を隣の男のかごに入れている。楽しそうに話しながら。彼は目を疑った。


 遠巻きに様子を見ることにした。男は自分より少し若かった。ハンサムだった。その顔は決して忘れることはない。


 買い物を終えると、二人は車に乗って去って行った。


 見間違いかもしれない。よく似た人は世の中に二人はいると聞く。絶対見間違いだ。思い直して彼女のアパートに向かった。


 彼女の部屋は、アパート1階の真ん中3号室である。部屋に明かりがついている。足音をさせないように歩いた。


 そっとドアに耳をつけると、話し声が聞こえる。彼女の楽しそうな声に混ざって、男の声が聞こえてきた。


 彼は血の気が引いていくのがわかった。こんなはずがない。想像だにしたことはなかった。そっとその場を離れた。


 夢中で駅まで歩いた。汚らわしい。そんな女だったのか。優しい言葉も態度も全て嘘だった。


 よくも騙してくれたな。それだけを考えていた。気が付けば、自宅アパートの駅で降りていた。


 帰る気にならず、駅前の居酒屋に入って行った。何度も電話しようと思ったが止めた。電話してどうなる。


 悔しさと情けなさで、立て続けにビールを2本飲んだ。少しも酔いが回ってこない。さらに飲み続けた。


 次の日、二日酔いのまま出社した。退社すると家に帰りたくなかった。今日は彼女が来る日である。会いたくない。


 悔しくて、情けない。思い出せば、怒りはさらに増した。せめて一言でも言わなければと、思い直し帰って行った。


                        つづく

次回は1月3日朝10時に掲載します