Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

        恋の終わり 4

 「突然、何を言うんだ。そんなことどうでも良いだろう」


 菊池は照れ隠しに笑いながら言った。


 失恋したのが六年前。友人の紹介で知り合い。一緒にお茶や食事したりしていた。一年程付き合ったが、それ以上のことは無かった。綺麗な人だった。菊池は密かに心を寄せていた。


 その人に突然、


「私、結婚することになりました」


 と知らされた。突然のことで思わず、


「おめでとう!」


 と言うとなぜか悲しそうな顔をした。その時は意味がわからなかった。


 彼女が結婚した後、友人から、


「お前の事好きだったんだぞ!」


 と言われて自分が情け無かった。


 以来、女性を好きになることは無かった。


 この頃では、青年で無くなった我が身の、身の程を知った。


 もう直ぐ四十歳になる。何のとりえもない安サラリーマン。誰が関心を持ってくれようか。今では、結婚の二文字ですら頭から消えかかっていた。


「答えになっていません!どうなんですか?」


「いるわけないだろう。いたら吉野君と、こうして飲んでるわけないだろう」


「えっ、それどういう意味ですか?」


 吉野が悲しそうな顔をした。菊池はふと六年前のことが頭を過ぎった。まさか、そんなことが・・・・・」


 吉野とは歳がひと廻り以上違う。まして、菊池には恋の気持ちのかけらほども無かった。


「お代わりして良いですか?」


 吉野は、グラスに三分の一程残っていたカシスハイを一気に飲んで聞いた。


 菊池は吉野を見て、自分の心のせつなさに気付いた。


 あの時の、


「好きです」


 の言葉は聞き違いで無かったのだ。胸が痛くなった。


                                 つづく

次回は6月9日金曜日です。