Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

   恋の終わり 3

 どうしてあんなことを言ってしまったのだろう。言わなければこんな思いをしなくても済んだのに。


 あまりにも親切にしてくれるから、ひょっとして私に好意を持ってくれてるのかも知れないと、希望を持ってしまった。


 『好きです』とは良く言えたものだ。今更ながら穴があったら入りたい気持ちだ。


 午後、コピーをしていると菊池が、


「元気ないね、大丈夫?」


 と明るく声をかけながらメモを置いて行った。そこには、


”話がある。今日、スタバで待っててね”と書いてあった。


 三十分程待ったところで菊池が入って来た。


「どうしたの?この頃避けてるみたいだけど」


「いいえ、そんなことありません」


「そう?急に付き合い悪くなったし」


「体調が良くないんです」


「それは良くないね。病院に行った?」


「いいえ、でも原因がわかっていますから・・・眠れないのです」


「それはいけないね。余程のことだと思うが考え過ぎちゃいけないよ。たまにはお酒でも飲むと良いんだよ」


「そうだ!新宿にうまい店があるんだ。付き合ってよ」


「今日は予定があります。ごめんなさい」


「そう来ると思った。少しだけ付き合って、ね」


 いつもの菊池に似合わない強引さだった。


 そこは個室居酒屋だった。が珍しいわけではない。会社の近くから離れたかったのかも知れない。


「ここはね、刺身がうまいんだよ。食べてごらん!さ、お酒も飲んで!」


 年の功か、勧め上手だった。菊池のたわいもない話に吉野は笑った。いつの間にか、ブルーな気持ちも消えていた。


 もともと吉野にとって、菊池と一緒に居ると心地良いのである。気持ちがほぐれて来た吉野は思い切って聞いた。


「菊池さん、好きな人います?」


菊池のおちょこを持つ手が止まった。       つづく


※おちょこ・・・お猪口=盃

次回第4回は6月2日金曜日です。