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            心の隙間 6.

 ボーリング場では広瀬と吉沢はペアを組んだ。点数などは気にしていなかった。目的が違うからだ。


 それでも佐竹が最後に集計して順位を付けた。佐竹と菊池はストライクを連発して、圧倒的点差で1位2位だった。


 3位が広瀬で4位が吉沢だった。吉沢は全くの初歩だった。見ていられなくて、広瀬が色々コーチした。


 ボールの選び方や入れ方では自然に吉沢の手を触れた。吉沢は従順な生徒になった。


 教え方がうまいのか吉沢に素質があったのか、めきめき上達した。最後の方は教えた広瀬が驚く程だった。


 広瀬は吉沢の手に触れたことで、天にも昇るような気持になっていた。その嬉しさを吉沢に知られないように振舞った。


 ボーリングの後、4人でボーリング場のカフェでコーヒータイム。


「ところで、俺達これから新宿に買い物に行くんだけど、どうする?」


 佐竹が広瀬を笑いながら見て言う。


「どうするって、どう言うこと?」


 広瀬が訊く。


「婦人服を買うんだって、吉沢さんも一緒だよ。俺、運転手だから」


「邪魔でなければ一緒に行っても良い?」


「もちろん良いよ。そうすれば俺退屈しないで済むから」


「良かったわね。私達も安心よね」


 菊池が笑いながら吉沢に言う。吉沢も微笑みながら首を縦に振った。車は前に広瀬、後ろに菊池と吉沢が乗った。


 中野から新宿のデパートまで20分程で着いた。買い物は1時間ほどで終わった。


 その間、佐竹と広瀬は4Fのカフェで待っていた。4人が揃うとみんなで食事をしようと言うことになった。


 ボウリングで体力を使ったので、とんかつで力を付けようと全員一致で7Fのとんかつ店に入った。


 コロナ禍で20時の終了である。店を出たのは19時半。エレベーターの前まで来ると広瀬が寂し気に、


「今日は皆さんありがとう。僕は地下一階から帰ります」


「何言ってんだよ!おまえ小田急線だろう。吉沢さんを送って行ってくれよ」


「えっ、みんなは車で帰るんじゃないの?」


「吉沢さんはおまえと同じ小田急線だよ。ねぇ、吉沢さん」


「はい、よろしくお願いします」


 少し恥ずかしそうに言う。広瀬はぱっと気持ちが明るくなって、


「はい、一緒に帰りましょう」


 嬉しさに心が震えるようだった。


                     つづく

続きは5月7日金曜日朝10時に掲載します