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    心の花 4

 木田は帰宅途中に、スーパーへ立ち寄ることを決めた。後30分で6時の退社時刻。退社時刻が待ち遠しかった。


 店内に入るとレジを見た。彼女は二番目のレジを担当していた。どのレジも混んでいた。


 木田は何を買おうと思っていたわけではないが、ぶらぶらと見て歩くうちに買い物カゴはほぼいっぱいになった。


 二番目のレジに木田は並んだ。ようやく順番が来た。


 杉野はやっと木田に気付いた。嬉しそうに、


「いらっしゃいませ!」


 しかし、忙しさもあってか今日は話しかけてくれない。しかし、最後ににっこりと微笑みかけて、


「ありがとうございました」


 木田は自分に向けた、その微笑みが嬉しかった。


 心がドキドキした。遠の昔に忘れていた気持ちだった。


 アパートに帰り着くと、木田はポストを確認した。どうでも良い通販のカタログが入っていた。


 ふと、彼女のポストはどこだろうと思った。名前を探したが見当たらなかった。


 ポストには殆ど名前が書いてない。考えて見れば自分も書いていなかった。


 いけないと思ったが、ポストの蓋を開けて中を覗いた。順番に覗いて見た。


 三番目の103号室に杉野由紀子の封書が見えた。なんと彼女は真下の部屋だったのだ。


 木田は、この日から畳に耳を付けて階下を気にした。防音が良いのかコトリとも音は聞こえなかった。


 翌朝、金曜日のゴミ出しに彼女と会うことはなかった。


 落胆の面持ちで駅に向かって歩いていると、10メートル程先に彼女が歩いている。


 嬉しくて木田は思わず走り寄った。息をきらしたまま、


「杉野さん!おはようございます」


                                  つづく

次回第5回は8月18日金曜日朝10時に掲載します。