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     心の花 1

 いつの間にか暑い夏が過ぎ、爽やかな朝風に目が覚めた。レースのカーテンがゆったりと窓をたわめいている。


 木田は、この頃ほぼ毎日深夜の帰宅である。時計は今6時を過ぎたところである。


 昨夜はシャワーを浴びベッドに入ると、部屋の空気がどんよりしていた。窓を開けた。


 心地良い風が入って来た。そのまま眠ってしまったようだ。


 出社にはまだ大分時間がある。もうひと寝入りしようかと思ったが、起きられる自信がなく起きて出社の支度を始めた。


 コーヒーが美味しかった。ネットで買ったドリップバッグだが朝の習慣になっている。朝食は無し。面倒くさくもありこれも習慣であった。


 新聞に夢中になり、出社ぎりぎりの時間になった。靴を履きながら今日はごみの日だと思い出した。


 靴を脱ぎ、急いでごみをまとめて家を出た。ごみを溜めておくのは心にもやを残すようで嫌だった。


「おはようございます」


 見るとゴミ袋を手にした女性がにっこり笑って言う。


「おはようございます」


 挨拶を交わしながら急ぎ足に進もうとすると、


「どうぞ!一緒にお持ちします」


 その人はにっこり笑って片手を差し伸べた。木田には少しの時間も惜しかった。渡りに船とはこのことだ。それとゴミ集積所は駅と反対方向にある。


「えっ、!良いんですか?ありがとうございます」


 思わず手渡した。その人の優しい笑顔に誘われるように、


 電車の中で思い出した。素敵な人だ。髪は肩まで長く、涼し気な優しい目をした人だった。にっこり笑いかけた顔が忘れられない。木田の心はふんわりと桃色に染まって行った。


                                 つづく

次回第2回は7月28日金曜日です