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          心の花 8

 「ありがとうございました」


 杉野はそれ以上の言葉は言えなかった。次のお客様が待っている。精一杯の心を込めて言った。


 木田もにっこり微笑み返し、黙ってかごを抱えてレジを離れた。


 杉野のいつも以上の微笑みが嬉しかった。嫌がられているのではなかったのだ。その時、


「お客様、箸をお入れしていませんでした。失礼いたしました。どうぞ!」


 杉野は箸を差し出した。


「あっ、どうもすみません!」


「今日はお出かけですか?」


「いいえ!」


 杉野は直ぐにレジに戻って行った。木田は袋詰めをしながら、おやっ、と思った。箸は入っていた。


 小さく聞こえた、『今日はお出かけですか?』が蘇ってきた。聞き違いかと杉野を見た。何事も無かったようにレジ打ちをしている。


 アパートに帰ると早速ビールを飲んだ。もう、心を塞いでいるものは無くなった。飲む必要は無いのだが、今度は何だか心が浮き浮きして飲まずにはいられなかった。


 いい気分だった。いつの間にかそのまま眠ってしまった。


 目が覚めると辺りは暗くなっている、時計を見ると5時半である。することも無いので見るでもなくテレビを見ていて、ふと思いついた。みかんを届けてあげよう

 スーパーの袋にみかんを入れた。どうせ留守だろうと思ったので


”木田です。郷里のみかんです。良かったらお召し上がり下さい”


とメモを入れて持って行った。やっぱり留守だった。ドアノブにかけて置いた。

 部屋に戻りコーヒーを飲んでいると、呼び鈴が鳴った。


「どなたですか?」


「はい!杉野です」


 木田は思いがけない訪問者に胸がどきどきした。直ぐにドアを開けた。杉野が立っていた。


                                つづく

次回第9回は9月15日金曜日午前10時に掲載します。

☆お知らせ☆シャンソンライブ出演します

9月21日 アバンセ 19時からです

四谷3丁目 03-3352-2248

10月10日 シャンパーニュ 19時からです

   新宿3丁目 03-3354-2002

 お時間があればぜひお越し下さい。

◎いずれも6曲ずつ歌います。