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             女の誤算 9

 午前十時。呼び鈴が鳴った。来客などあるはずはないが、気になって問うてみた。


「どなたですか?」


「津田です」


 津田の声だった。どうしてここがわかったのだろうと思いながら、胸が熱くなった。


「少しお待ちください」


 紗江子は急いで部屋を片付け、化粧を直した。


「お待たせしました。どうぞお入りください」


 ドアを開けた。


「お元気でした?」


 津田はにっこり笑いながら入って来た。


「突然の引っ越し、驚きました。何かありましたか?」


 座りながら津田は言う。丁寧な話し方だ。


「珈琲を淹れて来ますわ」


 想定の無い質問に紗江子は困った。まさか、訪ねて来るとは思っていなかった。


「急に会社の移動が決まりまして、申し訳ありませんでした」


「そうでしたか、僕を避けるために引っ越されたのかと思った」


「そうでしたら、部屋に入れるわけないでしょう」


「どうして、一言言ってくれなかったの?」


「本当に突然だったの・・・・・・・」


「紗江子さん、失礼なこと聞くけど、誰か他に付き合っている人いる?」


「いるわけないでしょう!」


「信じても良い?僕はこの二か月間、仕事も何もかも嫌になった。生きる意味を無くした」


 紗江子は俯いた。本当のことを言ったらこの人は去るわと思った。私怖い女よ。男はいらないの。この子と生きていくの。


「紗江子さん、ごめんね。負担になることを言ってしまったね」


「ううん、嬉しいの」


「じゃ、これからも付き合ってくれる?」


「それはだめです」


「どうして?理由を教えて」


 来月になればお腹が目立つ。津田にわかってしまう。計画が壊れてしまう。しかし、心は大きく揺れていた。津田を愛していた。


                                 つづく

最終回10回は3月31日です。