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             女の誤算 6.

 あれから三か月が過ぎた。週末は津田の誘いを受けて食事をすることが多かった。


紗江子は深酔いすることはなかった。あの日から二人が一つになることもなかった。


 紗江子は、津田の子供なら生んでもいいと思ったがなんの兆候もなかった。


 条件に適う相手は他には見つからない。紗江子には津田と言う物差しが出来ていた。しかし、津田以上の相手にはなかなか出会うことはなかった。


 先月、高校の同窓会に初めて出席した。その頃好きだった人に、実は好きだったと告白された。


 独身で東京に住んでいるという。誘われるまま次の日曜日、新宿御苑に行った。


 紫陽花があちこちに咲き乱れ、久しぶりに花を見ることの心地よさと安らぎを覚えた。


 どのベンチもアベックで占められ、寄り添っていた。二人は散策だけでなく、施設内のレストランやカフェに立ち寄り、ほぼ半日一緒だった。


 しかし、あの頃の心のときめきは少しも沸いてこなかった。次の約束を断ったまま今日に至る。現実は夢と離れていた。


 津田から今度の土曜日、紫陽花を見に行こうと誘われた。奇しくも新宿御苑だった。


 ベンチに座り二人は紫陽花を眺めていた。お互いにただ黙っていた。それで十分だった。


 紗江子の心はなぜかときめいていた。突然口を吸われた。躱しようがなかった。それを待っていたのかも知れない。長い口付けだった。


 「好きです。愛してます」


 津田は顔を寄せたまま言う。痛いほど抱きしめて来た。二人は互いに求めるように口を吸い合った。


 この日から、週末だけでなくお互いに時間が合えば会うようになった。津田の自宅にも訪れ、手料理を作るようにもなった。


 それから二か月経った。紗江子に月のものの訪れはなかった。

                     

                      つづく