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     女の誤算 4

 まもなく電車が入って来た。彼はどこに並んだのだろうと気になったが、そのまま車内に入った。男は二人後ろに並んでいた。


「この頃お見かけしないので心配していました。お元気でしたか?」


 男は紗江子の横に立っていた。爽やかな笑顔で言う。


 途端に心の曇りがさっと晴れて、何だか明るい気持ちになって来た。


「えぇ、元気でした」


 紗江子は突然のことに、それ以上言葉が見つからなかった。


「それは良かった。実は気になっていましてね。僕が余計なことをしたため気分を壊されたでしょう。いつかお詫びしようと思っていました」


「とんでもありません。私こそ申し訳なくて。一言お詫びしようと思っていました。何度かお見かけしましたが勇気がなくて・・・。その節はすみませんでした」


「いえ、こちらこそすみませんでした。実は私も、貴方を何度かお見かけしました。気が小さいものですからお声がかけられなくて、失礼いたしました」


 電車は新宿のホームに入り始めた。この間二人は殆ど口を利かなかった。車内は降りる支度が始まった。


 紗江子はこのまま別れるのが何故か寂しかった。


「お帰りは何時ごろですか?」


 以心伝心か?彼が聞いて来た。


「六時に終わります」


「今日はひな祭りですのでご一緒していただけませんか?」


 紗江子はひな祭りのことなど遠の昔に忘れていた。


「あら、私忘れていましたわ。良いですわね」


 終点到着の慌ただしさに急かされるように、思わず返事をしてしまった。


「では、七時にこの改札にお待ちします」


 ドアが開くと ¨新宿、新宿、終点新宿です¨ いつものアナウンスが聞こえて来た。


                      つづく