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   女の誤算 3

 紗江子は、次の日から乗る位置を一つ手前のドアに変えた。気を遣うのは嫌だった。おかしなもので、彼を素敵な人だと思わなくなっていた。


 紗江子は一年以内に妊娠すると決めてから、人生観が変わっていた。


 自分に相応しい子供の精子を受胎するための条件を、勝手に決め込んだからである。


 トラブルを避けるため既婚者は排除した。年齢は自分より若く、五体満足で顔もスタイルも良く、頭脳明晰で性格の良い人。


 勤務先を改めて眺めてみたが、該当する人はいなかった。


 男性が単なる生き物に思えるようになった。顔もスタイルも良いが、どこの大学を卒業したのだろう。


外観は素敵な人だが性格はどうなんだろう。町を歩いていても、ショッピングしていてもいつも頭を離れない。


 生きることの張りと楽しみが増えた。今日こそは明日こそは見つかるかも知れないと、出かけるのが楽しくなった。


しかし、紗江子のお眼鏡に叶った人はいなかった。ひと月も経たないうちに諦めが頭を過ぎるようになった。


 外観の良い人は時々見つけたが、話しかけることが出来ないのに、既婚か独身か学歴はむろんのこと、一番大事な性格などわかるはずもなかった。


 そのような失礼な質問に答える人がいたとしたら、その人はおかしい。そして、紗江子はもっと決定的なことに気が付いた。いや、もっと早く気付いているべきだった。


 運良く条件に適う人がいたとして、どのようにして接触を持つのか。持てたとしても、それを相手が許してくれるだろうか。どう考えても不可能なことだった。


 今更ながら自分の浅はかさに気が付いた。


 今朝は少し浮かない気持ちでホームを歩いていた。


「おはようございます」


 後ろから声をかけられた。あの素敵な人だった。


                              つづく