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      女の幸せ 8

「4月からはA社の現場が増えることになっている。人と足場を4月までに増やさなくてはならない」


「やっぱりそうでしたか。何かお考えがあると思っておりました」


「山本君にはその募集と面接を担当して貰いたい」


「わかりました。いつから致しますか?」


「年明け早々から始めて欲しい。第2倉庫にはバブル期の足場がぎっしり入っている。点検と整備をして貰いたい」


「わかりました。募集は臨時社員でよろしいですか?」


「そうしてくれ。まずは3名程雇い、2月中には整備を終えて欲しい」


「わかりました。募集広告はもう作らなければなりませんね」


「すまんが頼む。来年早々に募集したい。掲載日等は君に任せる」


「はい、ありがとうございます。最終的に何名の募集を致しますか?」


「3月までに10名必要だ」


「えっ、そんなにですか?」


「4月から現場が倍になる。現場監督の木村君に協力して貰い、教育をして欲しい。木村君には私から言っておく」


 これが始まりだった。2年経つとA社の成長につれ三栄工業も大きくなった。社員が50名を越えた。


 木村はあまりの忙しさに、体調を崩して退職してしまった。急遽、山本は現場監督の仕事も兼ねるようになった。


 会社は急増した社員管理の為に業務課を作り山本が課長を兼ねた。事務職は経理が2人増えて5人、業務課が3人。


 山本は総合管理として総務部長の肩書を持った。仕事は忙しさを極めた。誰より早く出社し、現場の終了連絡を受けて夜遅く退社した。


 いつしか洋子は全てに不満が溜まっていった。夫とは円満な家庭生活を夢見ていた。こんなはずではなかった。


 もう直ぐ3つになる可愛い盛りの一人息子との触れ合いも殆ど無かった。


 洋子は二人目の子供を身ごもっていた。妊娠4カ月と診断された。


「お帰りなさい。疲れたでしょう。直ぐ温めるわね」


「いいよ、食べて来た」


「私、食べないで待ってたのよ」


「いつも先に食べてくれと言ってるじゃないか」


「………」


 洋子はその場に座り込んだ。むなしさと怒りで涙が込み上げて来た。


                      つづく

次回は12月7日金曜日朝10時に掲載します