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       女の幸せ 7

 「電話変わりました。山本です」


「突然の電話ごめんなさいね。先日はありがとう。おかげで迷わずに行けたわよ」


 社長夫人は買い物の帰りなどに、月に1,2回会社に立ち寄って行く。先日は明治座への道を教えた。


「それは良かったです。面白かったですか?」


「面白かったわよ!あんなに笑ったこと生まれて初めて。

笑い過ぎてお腹が空いたわよ」


「綾小路きみまろの舞台は映像とは比べ物にならないくらい面白いらしいですね」


「そうよ、テレビで見たことあるけど桁違いに面白いわよ。そうそう、塩鮭貰っていただけるかしら?」


「喜んでいただきます。大好きですなんですよ」


「それは良かったわ。会社には持って行けないから取りに来ていただきたいの。帰りに家に寄っていただけるかしら?」


「はい、伺います」


「じゃ、明日来て下さいね」


 社長の家は会社から徒歩5分程である。夫人は大変気さくな人で、女子社員に大変人気があった。


 立ち寄る時は必ずお茶菓子の差し入れがあった。それを心待ちにしている社員もいた。


「ねえ、何だったの?」


「塩鮭をいただけるそうだ」


「あら、うれしいわね。一本かしら?」


「そうに決まってるだろう。お歳暮の時期だから重なって貰ったのだろう?」


「お歳暮出さなくっちゃ」


「えっ、まだ出してないの?」


「そうなの、子連れでは大変なのよ」


「そうか、わかった。今度の日曜日僕が行って来るよ」


 年末の賞与も思ったよりも多く出た。社長の判断だ。会社は順調だった。


 しかし、山本は不安だった。それは4月からの仕事の受注が、例年より3割ほど少なくなっているからである。


 仕事先はA社の下請け仕事が7割である。そのA社以外の受注が殆ど無いのである。


 山本は思い切って社長に相談することに決めた。


「そうか、心配してくれていたのか。実はその事で君に相談しようと思っていた」


                       つづく

次回は11月30日金曜日朝10時に掲載します