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     女の幸せ 5

 昼食場所は事務所の下だった。朝の着替えもここでした。


二階への階段下が入り口で左右に長い部屋になっている。


 左側奥にロッカーが並ぶ。その前が空きスペース。右側にスチール製テーブル2台を合わせて一つに置いてあった。


 和夫が顔と手を洗い、弁当を手にテーブル行くと、


「遅いな!飯の時間無くなるぞ!」


 怒鳴るように言う。皆食べ始っていた。


「兄ちゃんは、若いのによく来たな!3日持つかな?」


「ま、無理だな!」


 別の男が言う。


「がははは、本当のこと言ったら可哀そうだよ!」


 と飯粒を飛ばしながら笑う。


「そこに座れば良いよ」


 年配の木村がにこりともしないで指を指す。和夫は座ると、弁当包みを開いた。二段弁当だ。開けて食べ始めた。


「おっ、旨そうだな。母さんの手作りか?」


 隣の男が覗き込む。


「いえ、違います。嫁です」


「えっ、兄ちゃん結婚してんのか?」


「はい、僕は山本です」


「そうだ、山本君だったな。幾つだ?」


「27です」


「嫁さん年上だろう?」


「いえ、26です。学年は同じです」


 皆が寄って来て弁当を覗き込む。


「手が込んでるな!愛情弁当ってやつだな」


「ま、3日持つかな?」


「気にするなよ!こいつの口癖だから」


「でもな、俺も最初の頃は手の込んだ弁当だったよ。今じゃ、夜の残り物ばかりだ。残飯整理弁当だよ」


「そうぼやくなよ、俺なんか最初から鮭なら鮭、肉なら肉と一品だ。愛情薄い弁当だよ!」


「山本君食べなよ。時間無くなるぞ」


 木村が言った。皆でしゃべりながらの賑やかな食事だった。和夫はやかんのお茶をついで回った。


 雑談とは言え、こんなに気楽に話したことは初めてだった。思っているままに話す。全く裏が無い。


 話していることの他に意味はない。始めからあけすけに話すから失言もない。


 日頃は相手のことを考えながら話していた。話すことに気を配っていたのだ。ストレスの無い会話を知った。


 その時、面接時の男が入って来た。社長だったのだ。


「山本君、ちょっと事務所に来てくれるか?」


                        つづく

次回は11月16日金曜日朝10時に掲載します