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      女の幸せ 10 最終回

 二人目は女の子だった。その子もこの1月で二歳になる。早いもので入社して5年になる。全てに順風満帆だった。


 腰掛のつもりで入った会社が、今では生涯の会社と決めていた。急成長は続き社員は100名を越えた。


 営業部が新設され、和夫は本部長となり全てを統括した。しかし、責任は増えたが仕事は楽になった。


 和夫はまだ33歳になったばかりである。老け顔で40歳以上には見られたが、穏やかな性格で人当たりが良かった。


 新設の営業部は、古参の現場社員を和夫が課長に抜擢した。現場を知り尽くしているだけに、業績はさらに上がった。


 経理課長、業務課長、新設の営業課長は、


「思い通りにやって下さい。責任は全て私が取ります」


 和夫の言葉に三人共心酔した。本当の所は経理以外の業務や営業の事は、良くわからなかっただけのことである。


 下手な口出しするよりも任せようと思った。それが功を奏して、業績はさらに上向いて行った。


 洋子は夢を持っていた。愛する人とその人の子どもを産み、幸せな家庭生活を送ることだった。


 女の幸せについて、人は様々なことを言うが、これが女の最高の幸せだと洋子は思う。


「和夫さん、幸せをありがとう」


 洋子は会社の方へ向かって手を合わせた。


 祖父はあなたには力と運が無いと言った。私はそれでも良いと思った。しかし、あなたは力も運も持っていた。


「会長、A社の鈴木社長がお見えです」


「入って頂きなさい」


 高柳会長は席を立ち、鈴木社長を迎える。二人は知古のようである。ゴルフ談義に花が咲いた。


「ところで高柳さん、三栄工業の山本さんが本部長になられたことご存知ですか?」


「いえ、知りません」


「そうでしょうね。今日はそのお話もと思いまして、伺いました」


「鈴木さん、その節は大変お世話になりました。ありがとうございました。おかげで三栄工業は会社規模も拡大したようですね」


「山本さんの力によるところが多いようですよ」


「ほう、それはどういうことですか?」


「実は当時の三栄工業は、トラブル続きで弊社の現場担当者が発注先を変えようと言っていたようです」


 鈴木社長は一呼吸置いて言葉を続けた。


「高柳さんのお話がなければ、発注は止めていたでしょう」


「そうでしたか。そうとは知らず申し訳ありません。御迷惑をおかけ致しました」


「しかし、今では三栄工業が一番信頼おけると、現場が言っています。そこまで変えたのが山本さんだと聞いています」


 高柳は顔をほころばした。孫娘のためだった。嬉しい誤算であった。


                       終わり

次回12月21日金曜日は新作を掲載致します