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         偽浮浪者 7

 待ち遠しかった金曜日が来た。住田は早く会社に行きたくて、いつもの金曜日よりさらに30分早くアパートを出た。


 今日も浮浪者を見かけることは無かった。ところが、地下1階の改札口へ行く途中に浮浪者を見た。


 浮浪者は紙袋を片手に、駐車場入り口を入って行った。時刻は6時30分。


 住田は興味を持った。なぜ駐車場へ行くのだ。駐車場へ入ると、浮浪者が100メートル程先を歩いている。


 突き当り角を道なりに左へ曲がった。住田は靴音をさせないようにつま先立ちで急いで後を付けた。いない!


 いた!中型のセダンの後ろ。トランクを開け、毛糸の帽子を脱ぎ入れた。次に上着からズボンまで素早く着替え始めた。


 駐車場はまだがら空きで人影も無い。男は警戒なく着替えた。遠目で見ても仕立ての良いスーツ姿になった。


 運転席に乗り込んだ。車は直ぐに発進した。住田は駐車中の車の影から見送った。


 浮浪者の歳の頃はわからないが、中年以上であることは間違いない。


 専務が見かけたら知らせてくれと言ったこと。先輩木村が浮浪者は多彩だと言ったこと、妙に気になって来た。


 明日の朝も来るのだろうかと思ったが、休みを返上してまで確かめる気はない。月曜日に確かめることにした。


 会社近くのコンビニで珈琲を飲んだ。今日はいつもより早い。通りに面したテーブルだから行き交う人が目に入る。


 頭は切り替わっていた。彼女がいつ通るか楽しみだった。


「こちらよろしいですか?」


 いつの間にか満席で住田の隣だけが空いていた。5席しかないのだ。


「どうぞ!」


「失礼します」


 女性が座った。年上の女性だった。住田には何の興味も無かった。


 彼女は珈琲にサンドイッチを食べ始めた。住田もお腹が空いて来た。


「すみません!直ぐ戻りますのでこの席お願いしても良いですか?」


「はい、どうぞ」


 にっこりと答えてくれた。綺麗な人だった。


                      つづく

次回8回は4月13日金曜日朝10時に掲載します。